静岡県で茶殻とコーヒー粕によるバイオ炭循環モデル構築

静岡県におけるバイオ炭循環モデルの構築

静岡県で新たな持続可能な農業の形が見えてきました。株式会社伊藤園が、有限会社燦有機研究所や株式会社秋田製茶、株式会社ホテイフーズコーポレーションと協力し、茶殻とコーヒー粕を利用したバイオ炭の循環モデルを構築しています。このプロジェクトは、地域資源を活用した環境保全の取り組みとして注目されており、2025年7月から本格稼働する予定です。

伊藤園は、限りある資源の有効活用を目指しており、環境への影響を軽減するため、さまざまなプロジェクトに取り組んできました。その中でも、飲料製品の製造過程で排出される「茶殻」を有効活用することに特に注力しています。これまで、高水分の飲料残渣を安定的にバイオ炭化するのは困難でしたが、燦有機研究所との共同研究により、茶殻とコーヒー粕を混合して良質なバイオ炭の製造に成功しました。

このバイオ炭を契約茶園に施用することで、持続可能な農業を実現し、地域の資源循環を促進します。さらに、この取り組みは、農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」にも沿ったもので、温暖化対策の手法としても期待されています。バイオ炭の特徴としては、土壌に混ぜることで、肥料成分の吸収量を増やし農作物の成長を促すことが挙げられます。

バイオ炭は生物由来の資源を加熱し炭化することで作られ、その過程でCO2を閉じ込める役割も果たします。このプロジェクトが進めば、より良い品質の茶葉が栽培されるだけでなく、今後の持続可能なビジネスモデルの構築にも貢献するでしょう。

具体的には、伊藤園は契約茶園で栽培・一次加工された荒茶を使用し、ホテイフーズが飲料製造過程で排出される茶殻を利用、その後燦有機研究所が茶殻とコーヒー粕を混ぜ、秋田製茶が最終的にそのバイオ炭を茶園に散布します。この流れによって、静岡県が誇るお茶の生産がより質の高いものへと進化していくのです。

また、伊藤園は減農薬や有機栽培の技術開発にも力を注いでおり、茶殻を肥料化することによって地域資源循環型農業を推進するほか、蒸気防除機の開発なども行っています。これにより、日本茶の海外市場への輸出拡大も狙います。

このように、静岡県でのバイオ炭循環モデルの構築は、地域社会における資源の有効活用と環境保全の両立を実現する重要なステップとなるでしょう。伊藤園は、地域とともに持続可能な未来を見据えた取り組みを推進し続けます。