大日本印刷が飲料業界に導入するセンシングサービス
大日本印刷株式会社(以下:DNP)は、2023年より飲料・食品製造現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「DNP工場支援サービス Meglus Port®」を展開しています。このたび、このサービスに独自のDX技術を活用したセンシングモジュールが追加され、特にPETボトル充填ラインの「搬送パーツ」の状態を数値化する機能を実現しました。
新しいセンシングモジュールの特長
このセンシングモジュールは、PETボトル充填ラインの状態を数値で把握することを可能にし、測定や保守作業の効率を劇的に向上させます。これにより、生産設備の管理や保全にかかる負担を軽減し、製造現場での業務をスムーズにします。
DNPは、国内で「PETボトル用無菌充填システム」において圧倒的なシェアを獲得しており、その導入実績は190社を超えています。この信頼と実績をもとに、PETボトル充填ラインの搬送パーツに特化したセンシングサービスを新たに開発し、2024年11月から飲料メーカーへの運用が始まります。
日本が直面する人手不足の解決策
近年、日本国内では労働人口の減少が進み、人手不足や人材育成が深刻な課題となっています。特に飲料や食品を製造する業界では、こうした問題解決のためにDXの推進や自動化が急務とされています。この背景から、DNPは生産設備にセンサーを取り付け、生産ラインの状態を数値化するセンシングモジュールの開発に至りました。
このセンシングモジュールは、既存の「情報集計・分析ツール」と連携し、高精度な設備管理を実現します。これにより、従業員たちがデータ分析にかかる負担を減少させ、その効果を拡大することができ、業務の効率化や省人化を図ります。
様々な生産設備の状態を見える化する
DNPのセンシングモジュールは、成形機や充填機のグリッパの自動測定、ラベル搬送の挙動解析、さらにはベルトコンベアでの倒瓶解析にも対応しています。これにより、PETボトル充填ラインだけでなく、様々な生産設備や包装資材の状態を計測・可視化・分析することが可能になります。
特に、成形機・充填機におけるグリッパの位置や動作状況を自動で測定することで、PETボトルが成形される際の傷を防ぐ予防保全ができるようになります。これまで、メンテナンス時には人手でグリッパを個別に測定する必要がありましたが、新たなセンシング技術により必要な修正箇所を迅速に特定し、メンテナンス作業を大幅に効率化します。
今後のビジョンと拡張戦略
DNPは、今回の機能拡充した「DNP工場支援サービス Meglus Port」を通じて、飲料・食品メーカー向けの提供を拡大し、2030年までに50ラインの導入を目指しています。また、オペレーションサポートツールや自動化装置、さらには技術伝承のための教育ツールやコンサルティングサービスなど、提供する機能をさらなる形で拡充していく方針です。
DNPの取り組みは、今後の飲料業界における製造の進化を支える重要な要素となり、業界全体の生産性向上や人手不足の解消に寄与することが期待されます。