ノーベル経済学賞受賞 フィリップ・アギヨン教授の功績
2025年、イノベーションをもとにした経済成長の要素を解き明かした功績が評価され、コレージュ・ド・フランスのフィリップ・アギヨン教授とその同行者、米ノースウエスタン大学のジョエル・モキイア教授、米ブラウン大学のピーター・ホーウィット教授がノーベル経済学賞を受賞しました。この授賞は、アギヨン教授が執筆した書籍『創造的破壊の力:資本主義を改革する22世紀の国富論』を通じて、私たちの未来にどのようなインパクトをもたらすのかに焦点を当てています。
書籍『創造的破壊の力』の内容
この書籍は、経済成長理論の権威であるアギヨン教授が作り上げたもので、コロナ後の厳しい世界において資本主義をいかに改革し、持続的かつ平等な成長を実現するか、そのための道筋を示しています。特に、創造的破壊の概念が持つ驚くべき成長の力に注目しており、これを適切に運用することで、さらなる繁栄をもたらす可能性があると主張しています。
創造的破壊の意義
「創造的破壊」という言葉は、過去200年にわたり、人類が経験してきた目覚ましい経済成長の背後にある力として位置づけられています。新しいアイデアや技術の導入が既存の市場やビジネスを破壊することによって、代わりに新たな産業が生まれ、雇用が創出されるというプロセスが、どうしても起こるものなのです。しかし、そのプロセスには、市場の効率性だけでなく、社会的な不平等や健康、幸福に及ぼす影響も考える必要があります。
書評でも注目を集めた本作
『創造的破壊の力』は、2023年1月以降、様々なメディアに取り上げられ、その考え方が広がりを見せています。特に、東京新聞や日本経済新聞、週刊エコノミストなど、複数の経済系メディアから書評が寄せられ、2023年の「週刊ダイヤモンド ベスト経済書」でも第3位に選ばれるなど、世間から高い評価を受けています。
書籍の概要
本書は、以下のような章立てで進行し、イノベーションが私たちの未来にどのように寄与できるのかを深く掘り下げています。
- - 第1章: 新しいパラダイム
- - 第2章: テイクオフの謎
- - 第3章: 新しい技術を恐れるべきか?
- - 第4章: 競争は本当に望ましいのか?
- - 第5章: イノベーション、不平等、税制
- - 第6章: 長期停滞論をめぐる論争
- - 第7章: 中所得国の罠
- - 第8章: 工業化は絶対に必要か?
- - 第9章: グリーンイノベーションと持続可能な成長
- - 第10章: イノベーションへの道
- - 第11章: 創造的破壊、健康、幸福
- - 第12章: 創造的破壊のファイナンス
- - 第13章: イノベーションとグローバル化
- - 第14章: 投資家としての国家、保険者としての国家
- - 第15章: 市場・政府・市民社会のトライアングル
- - 終章: 資本主義の未来
著者紹介
アギヨン教授は、コレージュ・ド・フランス、INSEAD、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で教鞭をとる経済学者であり、今まで数多くの著作を執筆してきました。本書の他にも、創造的破壊に関する多くの理論を提唱し、世界的な影響を与えています。
書籍情報
- - 書籍名:『創造的破壊の力』
- - 著者:フィリップ・アギヨン他
- - 定価:4,620円(税込)
- - 発売日:2022年11月25日
- - 発行元:株式会社東洋経済新報社
- - ISBN:978-4-492-39671-1
本書は、資本主義における創造的破壊の可能性を再評価する一助になることでしょう。今後もアギヨン教授の研究から目が離せません。