地質形成と海嶺
2024-12-19 11:14:37

最新研究が示す日本列島の地質形成時期と海嶺沈み込みの関連

日本列島の海嶺沈み込みと鉱床生成年代の新たな調査成果



最近、早稲田大学を中心とする研究チームによって、日本列島の火山性塊状硫化物鉱床に関する新たな研究が発表されました。この研究は、レニウム-オスミウム(Re-Os)法を用いて、宮崎県延岡市の槙峰鉱床と北海道下川町の下川鉱床の生成年代を特定し、日本列島における海嶺沈み込み現象のタイミングをより明確にすることに成功しました。研究の結果、槙峰鉱床の年代は約8,900万年前、下川鉱床の年代は約4,800万年前であることが判明しました。

研究の背景と目的


日本列島は、過去の沈み込み現象によって形成された地質構造が複雑で、このことは鉱床の生成タイミングを知る上で非常に重要です。以前の研究では、海嶺沈み込み時に形成される微化石年代などを基に推測が行われていましたが、その際の熱的影響により、微化石の保存状態が悪化し、確度の高い年代決定が難しいという課題がありました。そこで、本研究チームは新たな手法としてRe-Os法に注目し、これにより鉱床を構成する硫化鉱物の年代を明確にしようとしました。

研究成果の詳細


1. 年代決定


野崎達生教授らは、宮崎県の槙峰鉱床と北海道の下川鉱床を対象に調査を行いました。両鉱床は現地性玄武岩を伴う別子型鉱床であり、Re-Osアイソクロン年代を求めることにより、槙峰鉱床が約8,940万年前に、下川鉱床が約4,820万年前に生成されたことが明らかになりました。これにより、日本列島の地質形成における海嶺沈み込み現象のタイミングがより明確にされました。

2. 生成環境の考察


両鉱床が形成された環境についても調査が行われ、陸源砕屑物が供給される沿海の中央海嶺が関与していることが示唆されました。特に、鉱石を構成する硫化鉱物のRe-Osアイソクロン年代が堆積岩の微化石年代と類似している点がこのことを裏付けています。また、鉱床が高度な硫黄同位体比を持つことが確認され、この結果は沈み込みに伴う熱的影響を示しています。

研究の意義と今後の展望


今回の研究によって、火山性塊状硫化物鉱床の生成年代を解明することができたことは、地質帯の成り立ちや日本列島の構造史の理解を深める契機となります。特に、別子型鉱床の研究は、これらの鉱床がどのように形成されてきたのかを明らかにする手助けとなり、その知見は他の地域にも応用できるでしょう。

さらに、過去の海嶺沈み込み現象のタイミングを明らかにすることで、新たな別子型鉱床の発見にも繋がる可能性があると期待されています。これは資源探査や地球科学において非常に重要なステップです。

まとめ


日本列島における海嶺沈み込み現象の研究は、地球の歴史を理解する上で非常に重要な鍵となります。今後も、この分野の研究が進むことで、新たな地質学的知見や資源探査の可能性が広がることに期待したいものです。

研究の詳細な結果は、Nature Research社が発行する『Scientific Reports』誌に掲載されています。


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