中堅社員のキャリア志向を知る調査結果とその意義
2024年12月、社会人5年以上の中堅社員800名を対象に、ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所がキャリア志向をテーマにした意識調査を実施しました。本記事では、その調査結果を基に中堅社員のキャリア志向について考察し、企業がどのように彼らを支援しうるかについても触れます。
調査の背景
平均寿命が延び、労働期間の長期化が進む中、企業は社員のエンゲージメントを高めることが求められています。特に中堅社員はライフステージの変化からキャリアを見直す時期にあり、企業は彼らのキャリア開発を支援する必要があります。そこで、本調査では中堅社員のキャリア志向に関する実態を明らかにすることを目的としました。
調査結果のハイライト
1. 半数以上がキャリア志向なし
調査の結果、中堅社員の半数以上が「特にキャリアについての志向はない」と回答しました。続いて「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」との回答が20.5%あり、キャリアに対する意識が非常に不透明であることが浮き彫りになりました。
2. 成長実感の重要性
成長実感が豊富な中堅社員は、「マネジメント志向」や「スペシャリスト志向」が高いことが分かりました。これに対し、成長実感が薄い人の多くはキャリア志向が不明確であるとの結果も出ています。成長の機会がキャリア志向に大きな影響を与えることを示唆しています。
3. 離職意向とキャリア志向
離職を考えている中堅社員の6割以上が「キャリア志向がない・未定」と回答し、社内でのキャリア開発の必要性が強調されます。この結果から、企業はキャリア支援を強化することで社員の離職率を下げることができると考えられます。
4. 理想的な職場文化の違い
さらに、キャリア志向によって理想とする職場の文化も異なることが分かりました。マネジメント志向の社員は「チームワークを重視する文化」を求める一方、独立志向の社員は「自律的な行動を重視する文化」を好む傾向にあります。
中堅社員のキャリア支援のポイント
01.
個別対応の重要性: 各社員が抱える課題は多岐にわたります。組織内の役割が変わる中で、企業は個々の葛藤や悩みに対して寄り添う姿勢が求められます。
02.
キャリアデザインの場を提供: 中堅社員が日常業務に追われて自己のキャリアについて考える時間がない場合、定期的なキャリアデザインの場を設けることが有効です。
03.
チャレンジの環境提供: 中堅社員には、成長を促すストレッチアサインメントなどを通じて新しい挑戦を与えることが重要です。
まとめ
この調査から、中堅社員のキャリア志向には明確な傾向があることが確認されました。特に、成長実感や職場の雰囲気に対する期待がキャリア志向に影響を与えるため、企業は個別の支援と成長の機会をしっかり提供する必要があります。今後も中堅社員のキャリア開発の在り方を探っていきたいと思います。