高齢者の転倒リスク軽減を目指すVRトレーニングの成果
近年、日本における高齢化の進展は著しく、高齢者の健康問題が重要な社会課題として取り上げられています。特に、高齢者の「転倒」は介護が必要な状態に繋がる大きな要因とされており、これに対する対策が求められています。ここで重要となるのが、「空間認知能力」です。
空間認知能力と転倒リスク
空間認知能力は、物の位置や距離を認識する力であり、加齢と共に低下することが知られています。この能力が低下すると、自動車運転の危険性が増し、転倒のリスクも高まることが報告されています。そのため、do.Sukasuはこの能力に注目し、視覚認知トレーニングを目的としたVRプログラム「de.Sukasu Training CATCH」を開発しました。
研究の背景と目的
2025年9月6日及び7日に開催された「第13回日本介護予防・健康づくり学会大会」において、do.Sukasuは奈良女子大学の中田大貴教授との共同研究の成果を発表しました。この研究では、健常高齢者を対象とし、VRを使用した空間認知トレーニングがどのように効果をもたらすのかを科学的に分析しました。
研究内容と方法
この研究では、トレーニング群とアセスメント群の二つのグループに分け、トレーニング群は1回15分のVRトレーニングを週2回実施しました。一方アセスメント群は、トレーニングを行わずに定期的な評価のみを受けました。研究の目的は、空間認知能力がトレーニングによってどのように変化するのかを明らかにすることでした。
研究成果
報告によれば、トレーニングを受けたグループは、アセスメントグループよりも空間認知能力が向上した傾向が見られました。今回の研究では症例数が限られていたために統計的な有意差は判明しませんでしたが、VRトレーニングによる効果が浮かび上がりました。また、トレーニング群においては、総合的な認知機能評価であるMMSEの成績も向上したことが確認されました。
今後の方向性
do.Sukasuは、今回得られた知見を基にさらに検証を進める方針を持っています。特に、高齢者の転倒リスクへの影響について、より詳細に解析を行い、科学的エビデンスを蓄積していく予定です。さらに、2026年度には、視空間認知能力を測定するアセスメントサービスやトレーニングサービスの事業化も目指しているとのこと。
まとめ
高齢化社会が進む中、do.Sukasuのような企業が、VR技術を活用して高齢者の健康寿命を延ばそうという取り組みは非常に重要です。空間認知能力の改善を通じて、転倒リスクを軽減し、より安心して生活できる環境を提供することが、これからの課題となるでしょう。今後もこの研究が進展しさらなる成果を上げることを期待したいです。