判断バイアスは世界共通
2024-06-28 11:49:20

試行錯誤が生み出す判断のバイアスは世界共通? 11カ国調査で明らかになった驚きの事実

世界共通の判断バイアス:試行錯誤が生み出す行動の盲点



早稲田大学理工学術院の渡邊克巳教授らの研究グループは、11カ国の社会経済的・文化的背景が異なる人々を対象に、経済的判断の傾向を調査しました。その結果、試行錯誤による学習によって生じる行動のバイアスには、国による違いがほとんど見られないことが明らかになりました。

異なる文化圏でも共通する行動パターン

研究グループは、実験参加者に「宝くじ課題」と「強化学習課題」を実施しました。宝くじ課題では、明確に示された情報に基づいて判断を行うよう指示されました。一方、強化学習課題では、試行錯誤を通して学習し、報酬を得られる行動を習得するよう設定されました。

興味深いことに、宝くじ課題では、リスク回避の傾向に国ごとの違いが見られました。しかし、強化学習課題では、報酬を得られないリスクを回避する傾向が、11カ国すべてで共通して見られました。つまり、試行錯誤による学習プロセスでは、文化的背景にかかわらず、共通の行動バイアスが発生することが示唆されたのです。

人間の意思決定における普遍性と多様性

今回の研究成果は、人間の意思決定における普遍的な側面と多様性を理解する上で重要な知見となります。特に、グローバル化が進む現代社会において、多様な文化圏の人々がどのように意思決定を行うのか、その共通点と差異を明らかにすることは、ビジネスや政策立案において極めて重要です。

研究の今後の展望

渡邊教授は、今後の研究では、国だけでなく、集団や個人差など、より詳細なレベルで人間の意思決定における普遍性と多様性を解明していく必要性を指摘しています。また、今回の研究結果は、医療、教育、経済、経営、政策など、様々な分野における意思決定プロセスを理解する上で、貴重な洞察を提供するものと考えられています。

研究成果は、英国科学誌『Nature Human Behaviour』に掲載されました。

論文情報

用語解説

強化学習: 報酬に基づく試行錯誤による学習。獲得した経験に基づいて行動することを可能にするメカニズムや行動のこと。
期待値: 1回の試行で確率的に得られる値の平均値。期待値がより高くなる選択をすることが、確率的に「良い」選択といえる。


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