ギ酸から小型水素製造装置開発
2023-07-12 14:30:01
産総研と東京計器グループ、ギ酸を用いた小型高圧水素製造装置の共同開発に着手
産総研と東京計器グループ、ギ酸から高圧水素を製造する小型装置の共同開発
東京計器グループは、2025年3月末までの期間で、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と共同で、ギ酸を用いた高圧水素製造装置の小型化に向けた研究開発を行うことを発表しました。
東京計器グループは、中期経営計画「東京計器ビジョン2030」において、水素・エネルギー事業を成長の柱の一つに据えています。これまで、油圧制御技術を活かした水素圧縮装置を都市部中心の水素ステーション向けに提供してきましたが、地方部など水素供給網が未整備な地域や、小規模な水素利用を想定したオンサイト型の水素供給システムの必要性に着目。今回、産総研が技術実証したギ酸を用いた高圧水素生成技術に着目し、この技術を基にした小型で低コストな水素製造装置の開発に着手することにしました。
ギ酸を用いた高圧水素製造:圧縮工程の省略による小型化と低コスト化
本研究開発の中心となるのは、産総研が開発したギ酸を用いた高圧水素製造技術です。この技術は、ギ酸水溶液と触媒を反応させることで、高圧の水素を直接生成するというものです。従来の水素製造方式では、大気圧で生成された水素を圧縮する工程が必要でしたが、本技術ではこの圧縮工程が不要になります。圧縮工程の省略は、装置の小型化と大幅なコスト削減に繋がり、水素社会の実現に大きく貢献する可能性を秘めています。
さらに、この方法では、水素生成の副産物として二酸化炭素が発生します。この二酸化炭素の効率的な分離と有効活用についても、研究開発の中で検証していく予定です。
ギ酸:多様な産業用途を持つ化学物質
ギ酸は、家畜飼料の防腐剤や皮なめし剤、凍結防止剤など、幅広い産業用途を持つ化学物質です。近年、水素の貯蔵・輸送におけるエネルギー消費の多さを解消するため、水素キャリアとしてギ酸に注目が集まっています。水素を別の物質に変換することで、効率的な貯蔵と輸送が可能になるためです。産総研は以前から、ギ酸を次世代の水素キャリアとして研究開発を進めてきました。
東京計器グループの取り組み
東京計器グループは、船舶港湾機器、油空圧機器、流体機器、防衛・通信機器などの製造・販売・修理を主な事業として展開しています。近年では、水素エネルギー関連事業にも積極的に進出しており、今回の産総研との共同研究開発は、その取り組みの一環として位置付けられます。
まとめ
産総研と東京計器グループの共同研究開発は、ギ酸を用いた小型高圧水素製造装置の実用化に向けた重要な一歩となります。この開発が成功すれば、水素エネルギーの普及促進に大きく貢献し、脱炭素化社会の実現に繋がる可能性を秘めています。今後の研究開発の進捗に注目が集まります。
会社情報
- 会社名
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東京計器株式会社
- 住所
- 東京都大田区南蒲田2-16-46
- 電話番号
-
03-3732-2111