出光興産と三井化学、エチレン装置集約による生産最適化に合意
出光興産株式会社(以下、出光)と三井化学株式会社(以下、三井)は、2024年10月9日に発表した通り、千葉地区でのエチレン装置の集約による生産最適化に関して最終合意しました。この合意は、両社がそれぞれのエチレン装置を一つにまとめ、より効率的な運営を実現することを目指したものです。
背景
出光と三井は、2010年に千葉ケミカル製造有限責任事業組合(CCM)を成立させ、千葉地区におけるエチレン装置の運営を統合してきました。近年、中国をはじめとした国々では大規模な石油化学装置の新設が進んでいる一方で、国内のエチレン需要は減少しています。このような変化に対応するため、両社は千葉地区でそれぞれが保有するエチレン装置を集約する方向で検討を重ねてきました。
合意内容
最終的に、両社は2027年7月を目指して、出光の装置を停止し、三井の装置に集約することに合意しました。この集約によって、原料調達や製品供給体制が変わることが見込まれますが、両社は既存事業の競争力を向上させるために協力していく方針を示しています。具体的には、以下の内容が合意されました:
- - 集約時期:2027年7月に出光千葉事業所での定期修理の終了後。
- - 集約方法:出光の装置を停止し、三井の装置へ統合。
- - 原料供給:両社がCCMへ供給します。
- - 生産する主な製品:エチレン、プロピレン、C4類など。
- - 事業運営:CCMにて、三井の装置を共同運営します。
未来への展望
両社は、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向けた新しいグリーンコンビナートの構築にも取り組む方針です。これにより、双方が持つ技術や資源を活かし、持続可能な未来に向けたビジョンを共有します。最終合意に至るまで、両社はエチレン装置集約における様々なリスクや課題も詳細に検討し、次世代の製造体制を見据えた戦略的な一歩を踏み出しました。
こうした動きは、円滑な供給体制を維持しつつ、コスト削減や生産効率の向上を狙ったものです。国内市場が厳しい状況となる中で、両社の連携が、今後の競争力を大きく左右することでしょう。
千葉ケミカル製造有限責任事業組合(CCM)の概要
千葉ケミカル製造有限責任事業組合は、2010年に設立され、出光と三井がそれぞれ折半で出資しています。CCMの主な目的は、千葉地区におけるエチレン装置の統合運営であり、エチレンやプロピレンなどの製品の生産・供給を行っています。現在のエチレン生産能力は、定期修理実施年で92万トン/年です。なお、出光の装置は37万トン、三井の装置は55万トンの生産能力を有します。
今後も出光および三井は、持続可能な石油化学産業の構築に向けて、緊密な協力を続けていく所存です。