サンゴとリン酸塩の関係
2025-01-10 14:09:18

サンゴの骨格形成を脅かすリン酸塩の新たな科学的知見

近年、サンゴの減少が深刻な問題として取り上げられています。海洋の温暖化や沿岸開発により、サンゴ礁の生態系が危機に瀕していますが、その原因の一つには陸域から供給される過剰な栄養塩が関連していると考えられています。特にリン酸塩は、サンゴが生育する海域で見ると、通常0.5 µM以下の低濃度でしか存在しないため、これまでサンゴの成長に悪影響を及ぼす要因とは見なされていませんでした。

しかし、最近の研究によって、リン酸塩がサンゴの骨格形成に直接的な影響を及ぼす可能性が示唆されています。国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の研究チームは、稚サンゴの飼育実験を通じて、リン酸塩の濃度だけではなく、その負荷量、すなわち濃度と流量の積が骨格形成に大きな影響を与えることを確認しました。

実験では、淡水と海水の組み合わせで稚サンゴを飼育し、リン酸塩の濃度を変えながら、その骨格形成を観察しました。その結果、驚くべきことに、リン酸塩濃度が低くてもそれに伴う流量が多い場合、サンゴの成長にマイナスの影響を及ぼす可能性があることがわかりました。この発見は、サンゴの保全に向けた新たな知見を提供し、廃水処理や陸域負荷の対策の重要性を裏付けるものとなりました。

今後は、海水中のリン酸塩の負荷量に対する閾値を設定し、具体的な保全策の制定を進めることが目指されています。この研究によって、より科学的な視点からサンゴの減少を逆転させるための指針が示されることに期待が寄せられています。また、今回の研究は2024年12月に「Marine Pollution Bulletin」に掲載される予定です。

サンゴは私たちの環境において非常に重要な生態系の一部であり、海中生物に対して食糧や居住環境を提供しています。そのため、サンゴの保護は地球の生態系を守るためにも欠かせません。研究の成果が、今後の政策決定や環境保全に貢献できることを願っています。サンゴ保全のために私たち一人一人ができることを考え、行動することが重要です。


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