スマホバッテリー劣化に関する研究プロジェクトが示す経済影響とその実態
近年、国立大学法人電気通信大学と株式会社携帯市場が共同で進める「スマホバッテリー劣化研究プロジェクト」が注目を集めています。このプロジェクトは、2020年7月に発足し、スマートフォンをはじめとする情報端末におけるバッテリー劣化の実態を調査し、同時にその経済的影響を明らかにすることを目的としています。
バッテリー劣化による経済損失の真実
このプロジェクトが発表したところによると、バッテリー劣化による経済損失は推定で4,220億円に達するとされています。この額は、新型コロナウイルスの影響を受けた大企業支援のための資金と同程度であり、決して無視できない規模です。
バッテリー劣化の定義は、フィーチャーフォンの場合はフル充電できないもの、スマートフォンやタブレットは最大容量が80%以下のものを指します。調査の結果、フィーチャーフォンでは7割、スマートフォンやタブレットではそれぞれ2割がバッテリー劣化していることが分かりました。これに基づき、スマホ市場でのバッテリーの劣化やその影響を深く理解することが急務であると言えます。
若年層の充電行動とその影響
プロジェクトでは、iPhoneユーザー1,800人を対象にしたアンケートを行い、「ながら充電」と呼ばれる行為がバッテリー劣化を招く主な要因であることが分かりました。
特に、動画視聴やゲームをしながら充電する行為が劣化を進行させており、年齢層に関わらず多くのユーザーがこの行動を取っています。高齢者層においても、動画視聴者の半数以上が“ながら充電”を行っているとのこと。コロナ禍での自宅勤務が影響していると考えられ、「フル充電がないと不安感を抱く」といった強迫観念も影響しているようです。
ソフトウェア更新の重要性
また、バッテリー劣化を防ぐためのソフトウェアを使用していないユーザーは、そのようなソフトウェアをインストールしたユーザーに比べて劣化の進行が著しいとされています。特にシニア層では、新しいOSやアプリケーションを嫌い、古いものを使い続ける傾向が見受けられました。これにより、知らず知らずのうちにバッテリーが劣化している可能性が高いのです。
発熱が引き起こすバッテリー劣化
さらに、充電中にゲームをプレイすると端末が過熱し、バッテリー劣化が加速する可能性があります。調査によると、ゲームをしている時とそうでない時で温度差が8.9度も生じることが確認され、この高温がバッテリー性能にどのような影響を及ぼすかは注視すべき点です。
今後の展望
今後、スマホバッテリー劣化研究プロジェクトは、個体別のデータ収集と分析をさらに進める予定です。特に、2021年度の夏から秋にかけて、携帯市場が開発した診断アプリを使用し、ユーザー行動とバッテリー劣化の関係を深く分析する計画が立てられています。
この取り組みを通して、より安全で快適なバッテリー環境に向けての啓蒙活動が期待されています。バッテリー劣化は個人の使用環境や行動によって異なるため、各々がこの問題を理解し、適切な使用法を心掛けることが重要です。
企業情報
所在地: 東京都調布市調布ヶ丘 1-5-1
URL:
電気通信大学
所在地: 東京都千代田区神田神保町1-1-17
URL:
携帯市場