プロポリスの肝臓保護作用が注目される
最近、株式会社山田養蜂場が行った研究で、ブラジル産のグリーンプロポリスが非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の進行を抑制する可能性があることが明らかになりました。この研究の結果は、2024年に発表された論文に基づいています。
NAFLDとは何か?
日本では2000万人以上が非アルコール性脂肪性肝疾患に該当すると言われており、そのリスクが高まっています。NAFLDは肝臓に脂肪が蓄積される状態であり、さらに進行すると肝炎や肝硬変、肝臓がんのリスクを伴います。
疫学と医療的課題
この疾患は、特別な治療法が確立されていないため、予防が非常に重要です。肥満や過剰な栄養摂取が「ツー・ヒット説」というメカニズムでNAFLDを引き起こすため、その発症を未然に防ぐ手段を探る必要があります。
プロポリスの研究背景
プロポリスは、500種以上の有用成分を含む天然の物質で、抗炎症、抗酸化作用があることが知られています。このため、研究ではブラジル産グリーンプロポリスがNAFLDにどのように関連しているかを確認するための実験を行いました。
研究結果の概要
1.
肝機能の改善: プロポリスを投与した結果、血中の肝機能マーカーの値がNAFLD群の1/4に抑制され、肝臓組織の脂肪滴の蓄積も少なかったことがわかりました。
2.
保護メカニズムの特定: 小胞体ストレスの影響によって引き起こされるアポトーシスや炎症を防ぐ遺伝子の発現が抑制されたことが確認され、MAPK/ERK経路やIRE1経路を介した作用が示唆されています。
3.
ケンフェロールの役割: ケンフェロールというプロポリス成分が、肝機能改善に寄与していることも明らかになりました。これはヒト由来の肝細胞での実験により示されています。
今後の展望
この研究によって、プロポリスが肥満による脂肪肝進行を予防する可能性が見えてきました。特に、肝臓に関連する疾患は深刻な健康リスクを伴うため、この予防的アプローチは極めて重要です。今後は、ヒトでの有用性をさらに探求し、プロポリスの作用をより詳しく解明する予定です。
まとめ
山田養蜂場は、プロポリスやローヤルゼリーなどを通じて、健康に向けた研究と開発に取り組んでいます。「アピセラピー」という観点から、プロポリスの可能性を追求し、NAFLDや他のメタボリックシンドローム関連疾患の予防に寄与することを目指しています。
文献情報: Biol Pharm Bull. 47, 1265-1274 (2024) 研究者: 小川智弘、寺田拓実
既に示された研究の成果が、多くの人々の健康に寄与する日を期待しています。