日本列島の火山活動の新たな解明
近年、国立研究開発法人産業技術総合研究所と東京大学による研究チームが、白亜紀から古第三紀の日本列島における火山活動とその原因を探究する成果を報告しました。この研究は、朝鮮半島と日本の広範囲における火成岩に含まれる同位体組成をもとにしています。特に注目されるのが「イグニンブライト・フレアアップ」という現象で、これは短期間に集中して火山噴火が起こる状態を指します。
研究の背景
イグニンブライト・フレアアップは過去に世界中で観察されていますが、日本列島では約9000万年前から6000万年前の間に頻発しました。この研究はその発生メカニズムを解明し、地球環境への影響を検討する上で重要な意味を持っています。研究チームは、火成岩の同位体組成から、1億年前を境に急激な変化があったことを示しました。
同位体組成のデータベース
研究者たちは、日本列島と朝鮮半島の火成岩に対する約2,300のサンプルデータを収集し、Sr(ストロンチウム)とNd(ネオジム)の同位体組成を分析しました。このデータベースの解析により、マグマ形成の直後に熱いマントルが流入してきたことが示されました。
マグマ活動の関係
また、研究により、マグマの異常な活動が大陸プレートの下底部へのマントル流入に関連していることが示された。具体的には、スラブ・ロールバックという現象によって、古い海洋プレートの膜がマントルへと変化し、熱いマントルが日本列島に向かう要因となったと推測しています。これにより、日本列島でのイグニンブライト・フレアアップの発生が説明されています。
研究の重要性
この研究は、火山活動とマグマ形成のメカニズムをより深く理解するための基盤を提供します。また、環太平洋地域を含む他の場所でのイグニンブライト・フレアアップの原因を解明するための参考にもなります。これらの火山活動は、気候や人類社会に大きな影響を及ぼす可能性があり、その理解は自然災害の予測に寄与することでしょう。
まとめ
日本列島の火山活動とそのメカニズムが新たに解明されたこの研究は、過去の火山活動を理解し、未来の地殻変動や災害への備えに寄与することが期待されます。詳しい研究結果は、2025年9月2日に「Progress in Earth and Planetary Science」に掲載されました。