女性社長比率は過去最高も依然低水準
2024年10月に発表された帝国データバンクの調査によると、日本国内企業の女性社長比率は8.4%となり、過去最高を更新しました。これは前年の8.3%からわずかに上昇し、4年連続の向上となったものの、依然として10%には届かず、その成長は緩慢です。
高齢化と女性社長
女性社長の年齢構成を見てみると、60~64歳が13.6%と最も多く、70~74歳も12.1%となっています。また、75歳以上の女性社長は21.7%という高い割合を占めており、社長の高齢化が進行していることを意味しています。これらの数字は、特に「団塊の世代」が75歳以上に達する中で悪化していることを示しています。
地域別の女性社長比率
都道府県別に見ると、徳島県が12.1%でトップを維持し、西日本では高水準の地域が目立ちます。四国地方では他にも、香川県や愛媛県が10%を超えています。一方で、岐阜県(6.0%)や愛知県(6.6%)のように低い地域も存在し、これらは製造業の割合が高い中部・北陸エリアに集中しています。
業種別の状況
業種別に分析すると、不動産業界が17.4%と最も高い比率を示しており、特にBtoC業種として存在感を発揮しています。対して、建設業(4.9%)や製造業(5.7%)は依然として低い水準にあり、この差は歴然としています。特に、建設業は業種としての特性から女性の進出が難しいことが影響しているようです。
大学別の分析
女性社長の出身大学に目を向けると、毎年増加し続ける日本大学が286社でトップです。この大学は5年連続の首位を守っており、他には慶応義塾大学(266社)や早稲田大学(239社)が続いています。国公立大学の増加も見受けられ、多様な教育背景を持つ女性たちがビジネスの世界で活躍しているのも特徴です。
課題と今後の展望
とはいえ、2025年までに東証プライム市場上場企業の役員に占める女性の割合を19%とする目標が迫る中、達成可能性は低いという意見が強まっています。また、女性管理職の平均割合も10.9%に達したとはいえ、依然として目標達成には程遠い状況です。
政府はこのジョブローテーションを改善するために、女性起業家の支援にも力を入れています。「女性起業家支援パッケージ」では、ネットワーク拡大やロールモデルの創出を目指す取り組みが進められていますが、果たしてこれが実を結ぶのでしょうか。
今後も続く小幅な上昇が見込まれますが、数値目標に焦点を合わせた人材登用には慎重になる必要があります。真正面から女性活躍を支援するのではなく、企業のダイバーシティ促進や経営改善に寄与する人材登用が必要です。
このように、女性社長や女性管理職の比率は今後も着実に向上することが期待されますが、適材適所の登用とサポートが不可欠です。