住友ファーマ株式会社と国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBN)の共同で開発中の新しいユニバーサルインフルエンザワクチン候補が、2023年9月27日から28日に開催される第29回日本ワクチン学会と第66回日本臨床ウイルス学会合同学術集会で中間結果が発表されることとなりました。このワクチンは、先進的なTLR7アジュバント(DSP-0546)を用い、複数のインフルエンザウイルスに対する幅広い予防効果を持つことを目指しています。
新たなワクチン候補の魅力とは
このワクチン候補「fH1/DSP-0546LP」は、住友ファーマが2024年5月14日に開始を発表した欧州でのフェーズ1試験において、その安全性や免疫原性を評価しています。試験は無作為化プラセボ対照二重盲検によるもので、18歳から45歳の健康な成人144名を対象に行われました。被験者には3週間の間隔で2回のワクチン接種が行われ、その後の中間解析では特定の副反応が見られたものの、全体的には良好な忍容性が報告されています。最も一般的な副反応としては、注射部位の疼痛や頭痛が挙げられています。
免疫原性の評価
重要なポイントは、各投与群の抗LAH抗体価です。接種後のDay50では、プラセボ群に比べて本剤群が高い抗体価を示し、特にアジュバントが添加された群が高い結果を得たことが強調されました。ワクチンの効果的な設計は新型インフルエンザウイルスのパンデミックへの迅速な対応が可能であることを示唆しており、住友ファーマはこれを次世代の革新的なワクチンと位置づけています。
今後の展望
本試験は、投与後1年間のフォローアップ観察が続く予定であり、その過程で交差反応性や抗体依存性細胞傷害活性などの探索的評価も行われます。住友ファーマとNIBNは、このワクチンの早期実用化を目指し、研究開発に邁進しています。このような技術革新が実現すれば、インフルエンザウイルスがもたらす脅威に対する新たな防御策が強化されることでしょう。
まとめ
住友ファーマによるユニバーサルインフルエンザワクチン候補は、インフルエンザの予防において新たな可能性を開くもので、今後の動向に注目が集まります。この研究の成果は、私たちの健康を守るべく、新しい医療の進展につながることでしょう。