ドイツ企業と日本の未来
2021-06-25 14:59:44

在日ドイツ企業が見る日本市場の安定性と未来の展望

在日ドイツ企業が見上げる日本市場の魅力



在日ドイツ商工会議所(AHK Japan)とKPMGドイツが共同で行った「日本におけるドイツビジネス2021」調査によると、在日ドイツ企業の90%以上が日本を「不確実な時代に安定をもたらす市場」と評価しています。この調査は2021年4月に行われ、経営層の意見を集めました。

日本市場の安定性


新型コロナウイルスの影響が広がる中でも、83%の在日ドイツ企業が前年に税引前利益を上げることができました。特に、73%の経営者が今後の売上増加を見込んでおり、55%が利益の増加を期待しています。一方で、売上や利益が減少するとの予想はそれぞれ5%と4%にとどまります。

このような結果は、日本市場の持つ販売拠点としての高いポテンシャルやリサーチの重要性を示しています。中でも、日本に拠点を置く理由として86%の企業が「販売拠点としての高いポテンシャル」を挙げています。

日本の戦略的価値


日本は、世界第3位の経済大国という位置付けからも、戦略的な観点で重要です。調査に参加した企業の59%が市場トレンドのリサーチ、53%が日系競合他社の調査のために日本に拠点を設けていると回答しています。「日本が持つイノベーション力は、企業が直接現地に拠点を置くことで初めて理解できます」とKPMGドイツのアンドレアス・グルンツ氏も強調します。

日本と海外の連携


ドイツ企業は、国際的に活動する日本企業と連携し、海外でも顕著な売上を上げています。53%の企業が、日本企業と提携し、国内と同じの売上を上げていることから、その可能性の高さがうかがえます。一部の企業は、海外で日本国内の3倍の収益を上げているというデータもあります。

さらに、48%の企業はアジアや他の地域へのアクセスを理由に日本企業と提携しています。特にASEAN地域や中国への市場アクセスを有効活用している企業が多いですが、コロナ禍のため入国制限が多くの企業にとっての大きな課題となっています。

ドイツ企業の課題と懸念


日本市場の成長可能性は高い一方で、いくつかの課題も浮き彫りになっています。特に、74%の企業が高齢化を深刻な脅威と考えており、79%の企業は十分に訓練されたスタッフの確保に苦労しています。このように、日本市場における人事関連の困難は依然として重要な課題です。

未来の協力分野


調査結果からは、今後の協力が期待される分野も明らかになりました。「燃料電池・水素技術」や「デジタル技術」、「グリーンテクノロジー」における共同プロジェクトが注目されています。日本とドイツは、同じ価値観を持つパートナーとして、さらなるビジネスチャンスを創出できると期待されています。

オリンピックに対する懸念


東京2020オリンピックの開催についても、企業の意見は分かれています。約3分の1の企業が開催によるプラスの効果を期待していない一方で、20%は開催による経済的損失を見込んでいます。このような懸念からも、日本市場の現実をしっかりと把握する必要があると言えるでしょう。

2021年は、変化と希望の年となることでしょう。ドイツ企業と日本企業が共に協力し、未来の新たなビジネスフィールドを切り拓くことができるのか、期待が高まります。

会社情報

会社名
在日ドイツ商工会議所
住所
東京都千代田区三番町2-4三番町KSビル5F
電話番号
03-5276-9811

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