イシノミ目の進化
2025-12-12 15:16:54

名古屋の名城大学、イシノミ目の交尾進化に新展開

名古屋の名城大学が明らかにしたイシノミ目の交尾行動


近年、名城大学農学部の武藤将道助教と筑波大学の町田龍一郎客員研究員が率いる研究チームが、原始的な昆虫であるイシノミ目における新しい交尾行動を発見しました。この研究は、イシノミ目の特定種であるコジマイシノミ (Petrobiellus akkesiensis) の生態を詳しく観察することで行われました。

配偶行動の発見


これまでイシノミ目では、交尾器の結合による交配行動が確認されておらず、研究者たちはこの現象の解明に向けて苦慮していました。しかし、今回の発見により、雌雄の外部生殖器が結合した状態で精子の受け渡しが行われる「直接移精」が確認されたのです。これは、昆虫全体の交尾の進化に重要な手がかりとなります。

研究の背景と意義


昆虫は地球上で最も多様性に富む生物群であり、全動物種の約75%を占めています。その中でもイシノミ目は、無翅昆虫類として知られる古い昆虫群であり、これまでの研究では、主に体外での間接的な精子の受け渡しが行われていました。

そのため、新たに見つかったこの「直接移精」のケースは、昆虫類の交配行動の進化における重要なミッシングリンクを明らかにするものです。直接的な生殖器の結合は、有翅昆虫につながる進化の過程において、より効率的な繁殖機会を提供したと考えられています。

方法と結果の詳細


研究陣は北海道の岩礁から多数のコジマイシノミを採集し、飼育環境下においてその配偶行動を観察しました。驚くべきことに、観察の結果、雄の個体が雌の体にぴったりと寄り添い、外部生殖器がしっかりと結合し、精子が直接受け渡される様子が確認されたのです。
この確認は、イシノミ目が置かれている過酷な環境下での試行錯誤の結果と考えられます。

進化シナリオの提案


また、本研究結果は、昆虫類がどのようにして間接的な精子の受け渡しから、直接的な交尾へと進化を遂げたのかという新しいシナリオも示唆しています。これは、今後の生物学的研究や進化の理解に貢献することでしょう。このように進化の過程を探ることは、昆虫学だけでなく、生物全般の進化を理解する手助けにもなります。

今後の研究計画


研究者たちは、この発見を踏まえ、他の無翅昆虫の配偶行動についての調査を進める計画です。また、海外の同様の種にも注目し、さらなる研究の進展が期待されています。

イシノミ目の配偶行動の新しい一面が開かれたことで、今後の昆虫進化研究がさらに豊かになることでしょう。本研究結果は、国際的な学術誌「Arthropod Systematics & Phylogeny」に発表され、多くの生物学者に影響を与えるとともに、昆虫愛好者にも新たな興味を呼び起こすことが予想されます。

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