株式会社ロゼッタと国立がん研究センターが医師主導治験を変革するAIツールの開発に成功

株式会社ロゼッタと国立がん研究センターが手がけた医師主導治験の革新

株式会社ロゼッタ（東京都千代田区、代表取締役：渡邊麻呂）は、国立がん研究センター中央病院と共同で医師主導治験のCSR（治験総括報告書）を自動作成するツールの開発に成功しました。本プロジェクトは、生成AI技術を駆使し、治験関連文書の作成プロセスの自動化を目指すものです。

研究の背景

今回の共同研究は2024年4月から始まりました。治験関連業務では、多種多様な文書作成が求められ、そのチェックに多くのリソースが必要とされていました。また、特に医療現場ではその特有性ゆえに汎用的な大規模言語モデル（LLM）の導入が難しいとされてきました。

ロゼッタは、医療や製薬業界向けの独自のAIモデルプラットフォーム「Metareal AI LLM2」を開発し、特に精度やUX（ユーザーエクスペリエンス）のカスタマイズを可能にしています。医療現場の特性に合わせた文書処理AIの開発において、ロゼッタの豊富な実績が本プロジェクトにも寄与しています。

研究手法

プロジェクトチームは、ロゼッタのAIエンジニアと国立がん研究センター中央病院の専門家（スタディマネージャー、モニター、およびデータマネージャー）で構成されました。このチームは、ロゼッタの独自開発のLLMアーキテクチャを基に、Retrieval-Augmented Generation（RAG）技術を用いて過去の治験プロトコールや解析レポートを参照しながら文書のドラフトを作成しました。

作成されたCSRドラフトは、チーム内でのフィードバックを元にプロンプトエンジニアリングが行われ、最適な出力結果を得るための試行錯誤が続きました。

研究結果

プロジェクトチームは、CSRの各章が持つ差異に応じた最適な変換プロセス及び言語モデルの生成が可能となりました。具体的には、出力されたドラフトを(A)そのまま使用可能、(B)微修正で使用可能、(C)大規模な追加作業が必要、(D)利用困難と評価し、内容の質を確認しました。

研究成果と今後の展望

今後は、生成AIによるCSR自動作成ツールの機能向上を図り、多様な治験関連文書（治験計画書や説明同意文書等）についても自動作成の実現を目指す方針です。

国立がん研究センターの中村健一部門長は、「臨床試験全体のDX化を推進しており、生成AIが重要な役割を果たす」と期待を寄せています。また、ロゼッタの古谷事業責任者も、医療・製薬業界の課題を解決するため、引き続きAI技術の進化を加速させる意向を示しています。