日本製鉄の高炉廃止
2025-03-31 12:35:19

日本製鉄の高炉廃止と残る9基の脱炭素移行計画の行方

2025年3月31日、日本製鉄は茨城県鹿嶋市にある鹿島製鉄所の高炉の1基を廃止することを発表しました。この動きは、鉄鋼業界全体が直面している脱炭素化の急務に応じたものであり、特に石炭に依存しない製鉄技術への移行が求められています。アジアを含む世界は、環境問題への関心が高まる中で、製造過程での温室効果ガスの排出削減を図るために、新たな技術の導入が急務となっています。

スティールウォッチのアジア担当者であるロジャー・スミス氏は、日本製鉄の鹿島製鉄所が行った高炉の休止は、まず一歩として歓迎できるものの、これまで多くの排出削減が設備の停止によるものであった点を指摘しています。真の脱炭素化を実現するためには、石炭を使用した製造プロセスからの早急な脱却が必要です。スミス氏は、日本製鉄が掲げるゼロエミッションに向けた抜本的な転換が必要であると強調しています。

日本製鉄は今後の計画として、残りの10基のうち1基を2030年までに電炉に転換する意思を示しています。しかし、残りの9基については、2050年までに電炉や直接還元炉、さらには水素を利用した高炉技術などへの転換を考えているものの、2030年代の具体的な移行計画はまだ策定されていません。これが、メーカーが求める大幅な排出量削減に向けた鍵となるからです。

スティールウォッチは、日本製鉄による石炭を使った現状の技術への依存が、化石燃料を使用する製造プロセスを延命させてしまうとの見方を示し、その結果として国際競争力の低下を懸念しています。特に、気温上昇を1.5℃に抑えるためには、強固な脱炭素化の戦略が必須であり、全ての高炉に関する具体的な移行計画が必要です。

このような背景のもと、日本製鉄が今後どのように脱炭素化を進め、残る高炉の移行に取り組むのかが大きな注目を集めています。業界全体や他国の動向を踏まえて、日本製鉄はどのような戦略を描くのか、今後の動きに目が離せません。脱炭素化はただの環境施策ではなく、企業の持続可能な成長に直結しているため、各社の取り組みがますます重要になっていくことでしょう。今後もこのトピックに関しての情報を追い続け、業界の進展を見守っていきます。


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