再生可能エネルギーの課題
2023-11-29 15:00:01
2030年日本の再生可能エネルギー目標到達へ向けた課題と現状分析
2030年日本の再生可能エネルギー目標到達へ向けた課題と現状分析
ウッドマッケンジーの最新のレポートによると、日本は2030年の再生可能エネルギーの目標達成に向けて深刻な課題に直面していることが明らかになりました。コストの上昇や送電網の強化、電力貯蔵システムの導入遅れが主な要因として挙げられています。このままの状況が続けば、2030年までに目標とする36%〜38%の発電比率には遠く及ばず、実際には31%にとどまると予想されています。
コストの問題と送電網の課題
日本は世界でも再生可能エネルギーのコストが高い国の一つです。最近のインフレ状況を受け、状況はさらに厳しさを増しています。燃料価格は安定化していますが、電力貯蔵や送電網に対する制約は、新エネルギーの導入を妨げています。このため、国内外の投資家は日本の電力部門に不安を感じており、脱炭素化の進展が鈍化しています。
再生可能エネルギーの発電比率の現状
2022年のデータによると、日本の電力供給の70%以上は化石燃料によって支えられています。再生可能エネルギーの発電比率は22%を超えたものの、2030年までの目標達成に向けた措置は急務です。具体的には、太陽光と風力発電の年間設備容量を、現在の5GW未満から12GWに増加させる必要があります。
原子力発電とその役割
岸田内閣の下、原子力発電所の再稼働が進められており、原子力の割合は2022年には6%でしたが、2030年には14%に増加する見込みです。しかし、政府の目標である20〜22%には未達の予想となっています。原子力の推進は、事実上の電力供給の安定を図る一方で、再生可能エネルギーの成長を阻む可能性も指摘されています。
電力貯蔵システムの遅れ
日本の電力系統用蓄電池への投資は、過去10年間で4GW未満と見込まれています。これはオーストラリアや韓国、インドに比べて大幅に遅れています。さらに、中国は300GW以上の導入を見込んでおり、日本の競争力が低下する状況も懸念されています。
日本の政策手段
ウッドマッケンジーのアレックス・ウィットワースは、電力貯蔵と送電網への迅速な投資が成功の鍵になると指摘しています。再生可能エネルギーの目標を達成するためには、太陽光と風力の発電比率を2030年までに42%から100%に引き上げる必要があります。
政策立案者はこれらの課題に応じた施策を早急に打ち出さなければ、再生可能エネルギーの確保は難しくなります。
世界的なエネルギー転換の必要性
ウッドマッケンジーは、世界の気温上昇が続く中、今後の行動が緊急であることを強調しています。日本だけでなく、全世界が持続可能なエネルギー移行を実現するために向き合うべき課題を抱えています。2023年からの施策が日本のエネルギー政策にどのような影響を与えるのか、次世代に向けて見守る必要があります。
会社情報
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Wood Mackenzie
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- Exchange Place 2, 5 Semple Street, Edinburgh EH3 8BL UK
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