小学生が香りを通じてつくる物語
2024年11月27日、水曜日、セントマティック株式会社が長崎県壱岐市の筒城小学校にて「香りの授業」を初開催しました。このプログラムは、植物が持つ香りを通じて子どもたちの感性を引き出し、独自の物語を創作するという画期的な教育方法です。対象となったのは、同校の5・6年生で、参加した生徒は総勢14名。地元で収穫された花梨の香りを用いることで、地域とのつながりも強調されました。
香りを通じた感性教育
「香りの授業」は、単なる香り体験に留まらず、生徒たちの心の中に新たなイメージを呼び起こすことを目的としています。授業は、目を閉じて香りに集中することからスタート。生徒たちはその香りを嗅ぎながら、浮かんだ景色や感情を自由にメモに書き出しました。最終的には、それらの言葉をつなげてオリジナルの物語を創作し、お互いに発表し合うという流れです。
花梨の香りは特に、生徒たちに多様な印象を与えました。「しょっぱい感じ」「おばあちゃんの家を思い出した」「ヒヨコ」など、多岐にわたる感想が飛び交い、それぞれの生徒が独自の物語を形作っていく瞬間は感動的でした。
大学との共同研究が実現する教育の可能性
このユニークなプログラムの背景には、2020年から東京大学との共同研究があるといいます。嗅覚が脳に与える影響を探求した研究の結果、香りと言葉を同時にインプットすることが、脳を活性化させることがわかってきました。その知見を活かして、セントマティックは「香りの授業」を構成しています。
生徒たちの感想
授業後、ある5年生の生徒は「花梨の香りを嗅いだとき、まるで夕暮れの海辺にいるような気分になった」と振り返ります。香りは彼の創作意欲を掻き立て、自分自身の物語を生み出すきっかけになったのです。また、同校の校長、安原美智子先生も「香りの授業は離島に住む子供たちにとって新たな刺激となる貴重な機会です。自分の感じたことを表現できる大人になってほしい」と語ります。
地域と結びつく教育
セントマティックの「香りの授業」は、北海道、関東、関西など多岐にわたり開催されており、地域にちなんだ香りを取り入れることで、その土地の良さを再認識する機会ともなっています。この取り組みは、学校教育では得られない新しい体験を子どもたちに提供するものです。
今後も、「香りの授業」の持つ可能性が広がり、多くの子どもたちに愛されるプログラムへと成長していくことが期待されます。