夜間観光政策の拡充とインバウンド促進を目指すシンポジウム開催レポート

2019年に開催された「ナイトタイムエコノミーシンポジウム」は、日本における夜間観光政策の重要性を再認識させる素晴らしい機会でした。観光庁長官の田端浩氏をはじめ、多くの専門家や関係者が一堂に会し、夜間観光の現状や未来について語り合いました。

シンポジウムの概要

本シンポジウムでは、ナイトタイムエコノミーのモデル事業を紹介するセッションが設けられ、前後半でそれぞれ6つの事例が発表されました。特に注目されたのは、元アムステルダムナイトメイヤーであるミリク・ミラン氏が行った、ナイトタイムエコノミーのグローバルなトレンドに関するプレゼンテーションでした。このセッションでは、他国での成功事例や持続可能な観光の重要性が強調されました。

また、パネルディスカッションには、様々な分野で活躍する専門家が参加し、夜間の文化的価値についての見解やインバウンド施策に関するアイデアが交換されました。観光庁長官の田端氏は、ナイトタイムエコノミーの推進が日本の観光産業全体の拡充につながることを明言しました。

具体的な取り組み事例

シンポジウムの中で紹介されたナイトタイムエコノミーの取り組み事例は、地域ごとに特色があり、活気ある夜間観光の実現に向けてさまざまな努力が行われていることが分かります。たとえば、東京の「伝統✕革新江戸東京夜市」では、神田明神を背景にした夜市が企画され、インバウンドの観光客も楽しめる工夫が施されています。

さらに、青山ファーマーズマーケットでのナイトマーケットや、LGBTツーリズムを意識した「JAPAN RAINBOW NIGHT OUT」、別府市での夜間観光企画など、多彩なアイデアが具現化されています。特に、地方における夜間消費の拡充を目指した取り組みは、地域の魅力を引き出し、新たな観光資源を生み出すことにつながっています。

必要な条件と未来への展望

持続可能なナイトタイムエコノミーの実現には、地域の文化を基盤とした政策が重要であると、ミリク・ミラン氏は主張しています。そのためには、地域の住民や行政、民間業者が協力し、共通の目標を持って取り組む必要があります。また、交通機関の運行時間を延長することも、夜間観光の魅力を高める鍵とされています。

田端長官は、日本の娯楽サービスの少なさに言及し、夜の時間帯に新たな観光需要を創出することが必要だと強調しました。また、地域全体でナイトタイムエコノミーを進め、観光地としての魅力を高めることを呼びかけました。