新たなJIS規格の制定について
2025年1月20日に、一般財団法人日本規格協会がクリーンルーム及び関連する制御環境の試験方法に関する新たな日本産業規格(JIS B 9920-3:2025)を発行します。この新規格により、クリーンルームに関わる試験方法が体系的に整理され、清浄な環境での製造や研究の品質を高める基盤が整備されます。
クリーンルームの役割
クリーンルームとは、極めて低い微粒子や微生物のレベルを維持するための特別な作業環境です。半導体の製造や医薬品の生産のように、製品の品質が直接的に影響を受ける場面では、その重要性は一層増します。具体的には、「①微粒子を持ち込まない」「②微粒子を発生させない」「③発生した微粒子を速やかに排除する」「④微粒子を堆積させない」という四つの原則を基に運営されており、この原則の遵守がなければ、製品の品質に影響を及ぼす可能性があります。
JIS B 9920-3の内容
新しく発行されるJIS B 9920-3規格は、クリーンルームの性能評価や運営に必要な試験方法を詳細に定義しています。これには、清浄度の回復性能試験、温度及び湿度の試験、分離性能試験、さらにフィルタシステムのリーク試験などが含まれます。これにより、より一貫した試験基準が確立され、製造時の汚染を排除するための確固たる指針が提供されます。
国際規格との整合性
クリーンルームに関連する国際規格にはISO 14644があり、特にこの規格との整合性が重要視されています。ISO規格はクリーンルーム建設時の検収基準や運用時の品質保証において欠かせないものであり、JIS B 9920-3はそれに対応した内容となっています。特に、2019年に大幅に改訂されたISO規格に基づき、最新の試験項目が反映された形です。
期待される効果
新たに制定されるこのJIS規格により、製品の品質管理や保証に役立つ重要な指標が提供されます。また、国際標準に則った評価方法が導入されることにより、クリーンルームを利用する半導体や医薬品関連の産業が国際競争力を高め、販路の拡大が期待されます。これにより、日本の製造業全体にとっても非常に意義のある取り組みとなるでしょう。
日本規格協会の役割
日本規格協会は、標準化及び管理技術の発展を目指し、1945年に設立された機関です。JIS規格の開発や販売を通じて、我が国の基準を形成し、業界全体の品質向上に寄与してきました。今回のJIS B 9920-3の制定も、この使命の一環として位置付けられています。今後も、日本では国際規格に即した標準化が進められていくことでしょう。