臍帯由来細胞で難病治療へ、ヒューマンライフコードが「勇気ある経営大賞」受賞
ヒューマンライフコード株式会社は、東京商工会議所が主催する「勇気ある経営大賞」のスタートアップ部門で、大賞を受賞しました。同社は、世界に先駆けて臍帯(へその緒)由来の間葉系細胞を再生医療等製品として実用化を目指しており、難治性疾患の患者さんの生きる希望へ繋がる革新的な技術に挑戦しています。
「勇気ある経営大賞」は、高い障壁に挑戦し、理想を追求する中小企業やグループを顕彰する制度です。本年度より創業10年以内の起業を対象とした「スタートアップ部門」が新設され、ヒューマンライフコード株式会社は初代の大賞を受賞しました。
3つの壁を乗り越えてきた挑戦
同社は、臍帯由来細胞の再生医療等製品化に向けて、これまで規制、技術、供給の3つの大きな壁に立ち向かってきました。
1. 規制の壁
日本では、臍帯の廃棄は自治体の条例に従う必要があり、研究目的以外での利用は制限されていました。しかし、ヒューマンライフコード株式会社は、条例緩和に向けて積極的に働きかけ、2019年9月に東京都から緩和通知を得ました。これにより、臍帯が細胞製品の原料として活用できるようになり、産業化への道が開かれました。
2. 技術の壁
細胞製品は生ものであるため、品質確保が重要な課題となります。同社は、東京大学から独占グローバルライセンスを取得し、製造方法に関するノウハウを獲得することで、事業基盤を強化しました。
3. 供給の壁
同社は、創業から6年で、東京大学医科学研究所附属病院臍帯血・臍帯バンク、ロート製薬株式会社、アルフレッサ株式会社、持田製薬との業務提携を実現しました。これにより、臍帯の入手から細胞製品の製造、施設への物流までの一気通貫のサプライチェーンを構築し、安定供給体制を確立しました。
今後の展望
現在、ヒューマンライフコード株式会社は、造血幹細胞移植後の非感染性肺合併症という希少難治性疾患に対する治療法の確立に向けた研究開発を進めています。同社は、「つなぐ命のきずな つながる未来」という理念のもと、患者さんの生きる希望につながる治療の選択肢を提供するため、更なる挑戦を続けていきます。