日本臨床化学会でのCraifの最新研究発表
2025年11月、名古屋で開催された第65回日本臨床化学会年次学術大会では、バイオAIスタートアップのCraifが注目を集めました。このシンポジウムでは、ゲノムビジネスの最新動向について議論が交わされ、特に尿中マイクロRNAの可能性が強調されました。CraifのCTOである市川裕樹氏が座長を務め、同社の技術顧問である安井隆雄氏と中部検査センター長の坪井智子氏が発表を行いました。
シンポジウムの主要ポイント
シンポジウムでは、尿中マイクロRNAの役割が非侵襲的かつ高精度な新しいバイオマーカーとして期待されていることが強調されました。臨床検査の分野では、高精度かつ侵襲性の低い検査方法の開発が急務とされています。この点で、尿中エクソソームマイクロRNAは体内の変化を反映する有望な指標となり、がんの早期発見への重要な基盤として位置付けられています。
膵がんの早期発見に関する研究結果
特に注目すべきは、尿中マイクロRNAを用いた膵がん検出アルゴリズムの精度です。462名の対象者をもとにした研究では、学習群でAUC 0.972、検証群で0.963という高精度を達成し、特に早期膵がんに対して感度80.8%を記録しました。これは現行の腫瘍マーカーであるCA19-9の41.3%を大きく超えるものであり、無侵襲でのスクリーニング手法としても大きな期待が寄せられています。
実地研究の成果
また、Craifが開発した「マイシグナル・スキャン」は、北海道岩内町での前向き観察研究を通じて実際に有用性が確認されました。この検査法は非侵襲で簡便なため、受診率が低い地域でも受診行動を促進する手段として期待されています。研究では、ハイリスク群から肺がんのステージ0を含む複数の早期病変が発見され、リスク層別化と早期治療に寄与する可能性が示唆されました。
先進的なデジタルラボシステムの導入
Craifは、独自のバイオマーカー抽出技術やsmall RNA-seqを用いて検査を実施しており、検体管理や精度管理を一元化したデジタルラボシステムを構築しています。このシステムにより、複雑な検査工程でも高品質かつ効率的に運用され、一般的な衛生検査所と比較して95%以上の工数削減を実現しています。特筆すべきは、4年連続で監査による指摘がゼロとなっている点です。
シンポジウムの詳細情報
シンポジウムの詳細は以下の通りです。
- - テーマ: ゲノムビジネスの最前線
- - 座長: 市川裕樹(名古屋大学)および竹田真由(愛知淑徳大学)
- - 演者: 加藤卓(藤田医科大学)、宮田雅美(ジェノニクス株式会社)、安井隆雄(東京科学大学)、坪井智子(Craif株式会社)、横山和之(北海道社会事業協会岩内病院)
第65回日本臨床化学会年次学術集会は2025年11月7日から9日まで名古屋で開催され、公式テーマは「知の創造と活用」です。詳細は
公式ウェブサイトでご確認ください。
Craifについて
Craifは、尿を中心とした体液から高精度なバイオマーカーを検出する技術を持つバイオAIスタートアップであり、がんの超早期発見と早期治療に取り組んでいます。独自の解析技術「NANO IP®︎(NANO Intelligence Platform)」を基盤に、がんのリスクを評価する革新的な検査を提供しています。Craifは「人々が天寿を全うする社会の実現」というビジョンを掲げ、バイオテクノロジーおよびAIを融合させた取り組みを展開しています。
会社概要
- - 社名: Craif株式会社
- - 設立: 2018年5月
- - 資本金: 1億円(2024年3月1日現在)
- - 本社: 東京都新宿区新小川町8-30 THE PORTAL iidabashi B1F
- - URL: Craif公式サイト