生物多様性を取り入れた新しい経営戦略とは

株式会社SVPジャパンは、企業が直面する新たな経営テーマ『生物多様性』についてのインサイト・レポートを公開しました。このレポートは、現代のビジネス環境において企業がこのテーマにどのように取り組むべきなのかを考察しています。

生物多様性とは何か？

農業や製造業において、環境への配慮が求められる今、理解しておくべき概念が生物多様性です。これは、地球上にいる様々な生物が互いに関わりあい、共存することを意味します。1992年に採択された「生物多様性条約」では、生物多様性は種、遺伝子、生態系の3つのレベルで構成されているとされています。この条約は、私たちが享受する食料、水、安定した気候といった『生態系サービス』を保つために非常に重要です。

生態系サービスの重要性

生態系から得られるサービスは、私たちの生活に不可欠です。しかし、人類の活動によって多くの生態系がダメージを受けており、これが回復不可能な状況に繋がっています。たとえば、「プラネタリーバウンダリー」という概念は、地球で人類が活動できる限界を設定していますが、現在の状況では生物多様性が深刻な危機に直面しています。

国際的な動きと日本の対応

2021年以降、生物多様性に関する議論が活発化しています。特に、G7サミットで表明された「ネイチャーポジティブ」という考え方は、2030年までに生物多様性の損失を逆転させることを目指しています。また、2022年の国連生物多様性条約第15回締約国会議（COP15）で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」により、2030年までに地球の陸地と海の30%以上を効果的に保全する「30by30」の目標が設定されました。これを受けて、日本政府も「生物多様性国家戦略2023-2030」を策定し、企業への情報開示を促しています。