エピストラ社と京都大学が共同開発したiPS細胞の新手法
エピストラ株式会社(東京都品川区、CEO 小澤陽介)は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)との共同研究を通じて、画期的な新手法を開発しました。この手法は、ヒトのiPS細胞から骨格筋幹細胞(MuSC)への分化効率を早期かつ非破壊的に予測するものです。この成果は、国際的学術誌「Scientific Reports」にて発表されました。
研究の背景
ヒトのiPS細胞は、様々な細胞に分化可能で、再生医療や創薬研究に多大な期待が寄せられています。しかし、分化過程は長期にわたることが多く、その分化効率がばらつくことが課題とされていました。長期間の培養を要するため、早期に分化効率を予測する手法が求められていました。
新手法の概要
本研究では、iPS細胞からのMuSCの分化過程をモデルとし、細胞画像解析と機械学習を組み合わせています。具体的には、14から38日目までの細胞画像を用いて82日目の分化効率を予測するシステムを構築しました。このシステムにより、最終的な分化効率を早期に評価できる可能性が示唆されました。
具体的な進展
MuSCは分化誘導に約80日かかるところを、本手法では24日目から34日目の段階でその効率を予測することが可能となります。これにより、従来必要だった細胞破壊的な手法や熟練者の目視評価に依存せず、画像を基にした簡便で客観的な評価が実現しました。また、効率良く細胞を取得することが可能になり、再生医療の研究を加速させると期待されています。
研究の実施と支援
この研究は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)が支援しており、特に再生医療の実現を目指したプログラムの一環として行われました。
エピストラ株式会社について
エピストラは、ライフサイエンス分野の研究開発を行う企業に向けてAI技術を駆使した実験条件最適化サービスを提供しています。これまで60件以上の導入実績があり、他の研究との共同も進められています。
今回のiPS細胞研究の成果は、再生医療の未来に向けた重要な一歩であり、さらに多くの分野での応用が期待されています。
詳細な情報については、
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)のサイトをご覧下さい。
論文情報
- - タイトル: Early and non-destructive prediction of the differentiation efficiency of human induced pluripotent stem cells using imaging and machine learning
- - 著者: Miki Arai Hojo, Taku Tsuzuki, Yosuke Ozawa, Toshiyuki Araki, Hidetoshi Sakurai
- - 掲載誌: Scientific Reports
- - DOI: doi: 10.1038/s41598-025-11108-5