岡山大学が赤潮の原因を探る新たな発見
近年、海洋環境の変化が深刻な問題となる中で、岡山大学の研究グループが新しい発見をしました。赤潮を引き起こす植物プランクトン「ヘテロシグマ(Heterosigma akashiwo)」が、細菌を貪食することで成長を促進するというメカニズムが明らかになったのです。この発見は、赤潮が発生する原因やその過程を理解する上での重要な手掛かりとなります。
赤潮とは?
赤潮は、特定の植物プランクトンが異常に繁殖することで海水が着色し、漁業や海洋生態系に悪影響を及ぼす現象です。赤潮を引き起こす要因は複雑で、栄養塩の供給や環境変動が関与しています。ヘテロシグマがその原因プランクトンの一つとされてきましたが、具体的な栄養獲得メカニズムが不明のままでした。
研究の背景
このたび、岡山大学資源植物科学研究所の准教授、植木尚子氏率いる研究グループは、広島大学や九州工業大学、さらには水産研究教育機構の研究者たちと協力し、ヘテロシグマが海中の細菌を貪食して栄養源としていることを発見しました。この過程はヘテロシグマの増殖において非常に重要だと考えられています。
特筆すべきは、ヘテロシグマが光合成に必要なリン酸塩が不足する環境下でも、特にポリリン酸を多く蓄積する細菌を貪食することでうまく栄養を補給できることが示された点です。このメカニズムは、これまで知られていた赤潮の発生における栄養塩の重要性に新たな視点を提供します。
研究の成果
この研究は、2025年12月に『ISME Communications』に発表され、注目を集めています。赤潮が発生するためにはリンを含む栄養塩が必要とされてきたため、従来の理解を覆すような発見とされています。ヘテロシグマが特定の環境条件において、細菌を利用して栄養素を獲得することに成功することで、より多くの赤潮が生じる可能性が示唆されています。
研究チームは、ヘテロシグマの増殖が細菌の種類に依存することや、ポリリン酸を含む細菌が特に効果的であることを確認しましたが、今後もさらなる研究が必要です。
研究が持つ意味
この成果は、赤潮が漁業や海洋生態系に与える影響を理解する上で重要です。海洋環境が変化する中で、プランクトンの挙動を解明することは、持続可能な漁業や海洋資源の管理に役立つでしょう。また、環境の変化に敏感なヘテロシグマの挙動を理解することで、今後の海洋政策や保全活動にも貢献が期待されます。
研究を主導した植木准教授は「大学院生が長年の努力を重ねて発表できたことを嬉しく思います。今後の研究にますます期待が高まります」と、今後の研究活動への意気込みを語りました。
関連情報と今後の展望
岡山大学は地域中核の研究大学として、SDGsや持続可能な開発目標にも取り組みを進めています。この研究結果は、岡山大学の地位をさらに強固にする可能性があります。今後も赤潮の研究が進むことで、海洋環境に対する理解が深まり、持続可能な未来につながることを期待したいものです。