岡山大学が発表！セルロースナノファイバーの農業利用で気候変動に立ち向かう

岡山大学の新たな研究成果

岡山大学の環境生命自然科学学域に所属する森也寸志教授と、大学院生のNgo Thuy Anさんは、植物由来の新素材「セルロースナノファイバー（CNF）」を使用した研究を進めています。この研究により、CNFが土壌の保水性を向上させ、乾燥した環境でも植物が健全に育つ可能性が示されました。

研究の背景と目的

気候変動の影響により、世界中で渇水が懸念されています。特に東南アジアの一部地域では、灌漑水の不足が予想されるため、農業生産に大きな影響を与える危険性があります。この困難な状況に対処するために、研究チームはCNFの特性を活用する道を歩み始めました。

CNFの効果

CNFは、土壌に対してわずか1％の施用で灌漑水の必要量を50％削減でき、土壌内に植物が利用可能な水分を多く蓄えることができることが判明しました。これは、植物の発芽と成長をサポートするだけでなく、長期的な農業生産にも寄与することが期待されています。

特に、この研究では、灌漑水が50％に減少した場合でも、植物の成長は100％灌漑時と同等であることが認められています。加えて、CNF施用によって灌漑水あたりの成長も増大するため、水を効率的に利用する新たな戦略の提供を目指しています。

研究成果の発表

今回の研究結果は、国際的に評価の高い学術誌「Environmental Technology & Innovation」と「Catena」に掲載される予定で、特に前者の論文は被引用数がTOP 5%に位置付けられるなど、世界的に注目されています。

森教授は、「Anさんとの共同研究がここまで大きな影響を与えるとは思わなかった。植物が利用できる水分に着目した点が特に重要だった」とその意義を強調しています。一方、Ngo Thuy Anさんは、農家の水不足解消に貢献できることを願いつつ、森教授との共同研究の機会に感謝の意を表しています。

未来の展望

気候変動の影響を受ける地域での農業生産の持続可能性を高めるために、CNFの活用は非常に重要です。今後の研究には、様々な土壌条件下でのCNFの効果を検証し、多様な農作物への応用を進めることが求められます。

地球環境を守り、食料生産を支えるため、岡山大学の研究が今後も期待されます。新しい材料によるアプローチが、農業の革新を促進し、持続可能な未来につながることを願っています。