2023年、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「バイオものづくり革命推進事業」が注目を集めています。特に、王子ホールディングス、バッカス・バイオイノベーション、日揮ホールディングス、ENEOSマテリアル、大阪ガス、東レの6社からなるコンソーシアムが提案した「木質等の未利用資源を活用したバイオものづくりエコシステム構築事業」が採択されました。このプロジェクトの主な目的は、化石資源に依存しない、未来の持続可能な製造プロセスの実現です。
本プロジェクトは、2024年度から2031年度にかけて実施され、生産実証に向けた様々な技術開発が行われます。具体的には、微生物の育種、加工プロセスの開発、そしてバイオものづくり製品の社会実装に向けた評価手法の確立が含まれます。各社の強みを生かし、未利用資源を最大限活用して新たな原料としての有効利用を推進します。
王子HDは、木質資源から新しい素材を生み出す取り組みを進めています。特に、木質由来の「糖液」に加え、「エタノール」や「ポリ乳酸」の開発も進めています。バッカスは、バイオテクノロジーとデータサイエンスを融合し、効率的に有用物質を生産するスマートセルの創出を目指します。日揮HDは、このコンソーシアムの中でライフサイエンス技術を駆使し、微生物の改良から製造プロセスまで一貫した構築を行います。
ENEOSマテリアルは、バイオ原料を用いて新しい高機能素材を開発、さらに大阪ガスは独自の発酵技術を活用し、天然由来の製品を生み出します。東レは、キャッサバ芋からポリマーを製造するための技術を発展させ、持続可能な資源からの原材料開発に貢献します。
このように、各社の協力により実現する未利用資源の使用は、バイオものづくりエコシステムの形成に寄与し、環境への影響を最小限に抑えつつ新しい価値を創造することを目指します。これにより、未来の製造業はよりサステナブルで、効率的な方向に進化していくことが期待されます。
バイオものづくりの革命は、環境配慮型の経済活動を推進し、社会全体が持続可能な発展を遂げるための重要なステップとなります。今後の進捗に注目が集まる中、各社が協力し合い新しい価値を生み出していく姿が期待されます。
このプロジェクトは、ただの技術革新にとどまらず、社会のニーズに応える持続可能な未来の具現化を目指しています。バイオものづくりの進展が、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか、興味深く見守る価値があります。