春の訪れを感じる三河地方の郷土菓子「いが饅頭」

春の香りを届ける「いが饅頭」

愛知県三河地方では、春の訪れを告げる伝統的な和菓子「いが饅頭」が親しまれています。この老舗の和菓子は、地域の特産品として70年以上も愛され続けており、地元の人々の心を掴んで離しません。染められたお米を表面に施したいが饅頭は、ひな祭りなど特別な日には欠かせない一品です。

「いが饅頭」とは何か？

いが饅頭は、あんこを米粉の皮で包み、表面にカラフルに着色されたお米をトッピングした和菓子です。もちもちとした食感が特徴で、米粉の風味が引き立っており、食べると米本来の美味しさが口の中で広がります。特に、三河地方ではひな祭りが近づくと、この和菓子を楽しむ習慣があるため、その需要は一層高まります。

お亀堂のいが饅頭のこだわり

「いが饅頭」を提供するのは、愛知県豊橋市に本社を置く老舗和菓子店、株式会社お亀堂です。代表取締役の森貴比古氏のもと、同店は国内産の最高品質の米粉を使用したいが饅頭を製造。そのもちもち感と風味を最大限に引き出すため、人の手で一つひとつ丁寧に色づけされたお米をトッピングしています。

色づけされたお米には、それぞれに意味が込められています。例えば、桃色は桃の花と魔除け、黄色は菜の花と豊作祈願、緑色は新芽と生命力を象徴しています。これらは、春を迎えるための願いが込められた、心温まる要素でもあるのです。

地域文化の継承と愛

お亀堂では、郷土文化を大切にし、保育園や幼稚園にいが饅頭をおやつとして提供することで、地域の子どもたちに伝統的な和菓子を体験してもらっています。また、直営店やスーパーなどで手に入れることができるため、三河地方の人々が日常的に親しむことができます。特に、ひな祭りのピークである3月3日には、1日あたり1万個以上ものいが饅頭が製造・販売されます。