企業における女性管理職の比率向上に向けた研究結果
近年、日本における女性管理職の比率向上は社会的な課題として取り上げられています。しかし、具体的な数値目標を掲げたにも関わらず、実際の進展はあまり見られないのが現状です。そこで、明治大学商学部の加藤拓巳専任講師とパナソニック コネクト株式会社が共同で行った研究が注目されています。
この研究では「KPIとCEOのメッセージの組み合わせが女性管理職の比率向上にどのように寄与するか?」をテーマにしています。彼らの成果は、Strategic HR Reviewに掲載され、従業員のモチベーションを高めるためにはCEOの意志を伝えることが重要であることが示されました。
1. 背景と課題
女性管理職の比率を上げることが重要なのは、企業の意思決定層に多様性を持たせることで、より幅広い視点からの意思決定が行えるようになるからです。しかし、現実問題として、年齢や性別の違いが職場内での対立を生むことが多く、それが組織内のコミュニケーションに悪影響を及ぼしています。このため、多様性を受け入れることができる風土の構築が求められています。
2. 研究のアプローチ
加藤講師とパナソニック コネクトは、女性管理職比率向上のためのKPIを設定しましたが、数値目標だけでは従業員の意識向上には限界があったと報告しています。そこで、取組みの背景や意義をCEOからのメッセージによって強調する必要があるとされました。
3. 結果と示唆
研究の結果、単にKPIを示すだけでは変化をもたらすことは難しく、CEOからのメッセージが従業員の態度にポジティブな影響を与えることが明らかになりました。特に、CEOの言葉により数字の背後にある意図が伝わると、従業員の理解と共感が得られ、さらに意欲的に取り組む姿勢を持たせる効果があると考えられます。
4. 企業への提言
この調査結果を踏まえ、企業の経営者はKPIを伝える際にナラティブストラテジーを活用するべきです。CEOが自身の言葉で、なぜそのKPIが設定されたのか、何を目指しているのかを語ることで、数字に意味が付加され、従業員はその目標に対して前向きにアプローチできるようになるでしょう。今後もこのような研究が進められ、企業における女性管理職の比率向上につながることが期待されます。
関連情報として、加藤拓巳専任講師のホームページや研究紹介記事もぜひ確認してみてください。