千葉県袖ケ浦市に新たに設立された就労継続支援B型事業所「わくぽに」は、斬新なビジネスモデルを採用し、障がい者の工賃向上を目指しています。この「わくぽに」は、持続可能な循環型農法であるアクアポニックスを取り入れ、地元の自然環境を活かした生産活動を行っています。具体的には、錦鯉の飼育と高麗人参の栽培を通じて、高品質のサプリメントを生産し、これを加工・販売しています。特に高麗人参の生産は高単価市場であり、工賃は従来の約3倍、月4.5万円以上を目指しています。
事業所の設立を進める株式会社IGNITIONの佐藤代表は、「わくぽに」を通じて、地域社会との連携を強化し、包括的な支援を行うことの重要性を強調しています。「わくぽに」の設立の背景には、全国平均の約3倍となる工賃の実現があり、これは障がい者の経済的自立に資するものです。
一般的に、就労継続支援B型では雇用契約を結ばないため、工賃が非常に低く、2021年度の全国平均は月約1.6万円という状況でした。「わくぽに」では、この過去の例を覆し、経済的な自立を可能にする取り組みを進めています。
「わくぽに」のサービス管理責任者には、障がい福祉に20年以上携わってきた山口竜が任命され、彼の経験と知識を基に、利用者に対して最適な就労支援を提供していく方針です。また、2025年から始まる新制度「就労選択支援」にも対応し、障がいのある方が自分に合った支援を選択できるようサポートを行っていきます。
現在、「わくぽに」ではさまざまな生産活動が計画されています。具体的には、錦鯉の餌やりや水質のチェック、高麗人参の育成、さらにはサプリメントの加工など、多岐にわたる業務が実施される予定です。この多様な活動は、障がい者の特性や能力に応じて柔軟に支援できるよう設計されています。
アクアポニックスを通じた取り組みは、ただのビジネスに留まらず、地域レベルの持続可能な社会構築にも寄与するものです。IGNITIONは地域の企業や団体とパートナーシップを結び、循環型地域社会の実現に向けた活動を積極的に進めています。
これからの「わくぽに」の活動に期待が寄せられていますが、ただ工賃を上げるだけではなく、障がい者の働く意欲を高め、生きがいを感じてもらえる支援を行うことが重要です。このようにして、障がい者の社会参加を促進し、全体的な社会福祉の向上につながることが期待されています。今後も、アクアポニックスの可能性を広げるとともに、社会の安心を支える企業として成長していく姿を見守りたいと思います。