2024年8月5日から9月30日まで、東京スクエアガーデンアートギャラリーにて、写真展「だれかのふるさとと出会う旅」が開催されます。伊豆、福島、岡山など全国各地のアートプロジェクトに関わる一般社団法人「くくむ」が主催し、東京建物株式会社と株式会社PODと協力して実現しました。この展覧会では、写真家の仁科勝介が石川県で撮影した作品を通して、訪れる人々にその土地の魅力を伝えることが目的です。
展覧会の第一弾となる石川県では、震災前に撮影された作品を中心に30点から40点ほどが展示されます。特に、能登半島の美しい風景や、印象深い集落の景色が取り上げられ、観客はまるでその地を旅しているかのような体験ができるでしょう。
仁科さんは、過去2年間にわたり日本全国を巡り、その土地の風景を自身の目で捉えてきました。この展覧会では、特に能登半島に焦点を当て、かつての風景を思い起こさせる作品を公開します。中でも、黒瓦の屋根が美しい集落や、輪島の千枚田などは、その魅力を存分に引き出しています。
加えて、展覧会では関連企画としてアーティストの瀬尾夏美による、能登半島地震後のボランティア活動を通じて撮影された被災後の景色も一部展示されます。また、震災復興支援として発行された冊子『ノトアリテ』も見ることができ、地域の手仕事や伝統工芸についての取材記事も掲載されています。
写真展は10時から19時まで開かれ、土日祝日は閉館していますが、9月30日の最終日は18時までとなっています。入館は無料であり、気軽に訪れることができます。
京橋は古くからアートの土壌が育まれてきた地区で、多くのギャラリーや古美術店が集まっています。そんな場所で、東京と地方をつなぐこの企画が実施されることは、アートの発信地としての可能性を感じさせるものです。東京という都市の中で、ふるさとの存在を再確認できる貴重な機会です。
仁科勝介氏は、岡山県出身で、全1741の市町村を巡った経験を持つ新進気鋭の写真家です。彼は、ふるさとの写真を撮ることを通じて、ふるさとという概念について深く考えるようになったと語ります。「どんな土地にも誰かのふるさとがある」という仁科氏の言葉は、多くの人の心に響くことでしょう。私たちが今いる場所が誰かにとってのふるさとであることを、改めて思い起こさせてくれます。
今回の写真展は、東京を起点にしながらも、私たちに忘れてはいけないふるさとの記憶や、それぞれの土地に生きる人々の物語を感じさせてくれる素晴らしい機会です。ぜひ足を運んで、その魅力に触れてみてください。