腎臓移植の新技術
2021-02-19 11:52:12
水素ガスを利用した腎臓移植の新技術が慢性拒絶反応を防ぐ
水素ガスを利用した腎臓移植の新技術
近年、臓器移植におけるドナー不足が深刻な問題となっています。これを解決するため、高齢ドナーや心停止ドナーからの臓器提供が注目されていますが、特に心停止ドナーの腎臓を移植すると、慢性拒絶反応が高い確率で起こることが知られています。この問題に取り組むため、北里大学の岩井聡美准教授と慶應義塾大学の研究者たちは、水素ガスを含む保存液を利用した新たな方法を開発しました。
研究の概要
本研究では、心臓が停止して血流がストップした状態から摘出したミニブタの腎臓に水素ガスを圧入した保存液を用いることで、驚異的な効果が報告されています。従来、心停止ドナーからの腎臓は通常、移植後の急性期に機能不全が起こるリスクが高いとされてきましたが、水素を充填した保存液を使用することで、この急性期の障害を軽減し、さらに慢性期の拒絶反応も抑制できることが明らかになったのです。
実験の方法と結果
研究チームはミニブタを用いて、ヒト臨床に即した免疫抑制薬のプロトコルを使用し、超音波検査やCT検査を通じて、腎移植後の経過を観察しました。水素を含む保存液で処理された腎臓は、100日以上生着し、病理学的な観察でも慢性拒絶反応が著しく抑えられる結果が得られました。この成功により、水素ガスが心停止ドナーからの腎臓を移植可能な状態に蘇生させることが可能であることが実証されました。
水素ガスの作用メカニズム
水素ガスには、虚血再灌流障害を抑制する効果があることが過去の研究から判明しています。これにより、ドナーからの腎臓が移植後に直面する急性期の機能不全や拒絶反応のリスクを軽減することが期待されています。今回の研究では、腎臓を水素ガスで充填した保存液で処理することで、機能回復に関する具体的なデータが得られています。
今後の展望
本研究の成果は、今後の臓器移植医療において大きな意義を持つものと考えられます。特に、高齢化社会においては、マージナルドナーを有効に利用できる技術は重要です。移植直後の急性期だけでなく、長期的な生存率や機能維持の向上も期待されます。今後の臨床試験を通じて、人間の臓器移植でも同様の効果が得られることが期待されており、水素ガスの導入が新たなスタンダードとなる日も近いかもしれません。
研究の発表
本研究は2021年2月17日に、欧米の科学雑誌『Frontiers in Immunology』にて発表されました。研究チームは、ドナーから摘出した腎臓を新たな方法で保存することで、臓器移植の未来を変える可能性を秘めています。
会社情報
- 会社名
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株式会社ドクターズ・マン
- 住所
- 神奈川県横浜市青葉区美しが丘2-14-5リーフ美しが丘ビル2階
- 電話番号
-
045-905-2330