2030年日本の温室効果ガス削減目標達成難航の見通し
2030年日本の温室効果ガス削減目標達成難航の見通し
ウッドマッケンジーの最新の調査によると、日本が2030年度までに温室効果ガスの排出量を46%削減することは非常に難しいと予想されています。これは、ジョー・バイデン米大統領が主催した気候サミットで日本が掲げた目標に対する分析結果です。従来の届出では、2013年比26%の削減目標を設定していましたが、これは既に高いハードルであることが指摘されています。
ウッドマッケンジーの専門家であるプラカッシュ・シャルマ氏は、「日本のCO2削減率は2030年までに34%と見込まれ、ネットゼロへの達成も2050年になるだろう」と述べています。このことは、政府や企業間での非常に明確な政策とインセンティブが必要であることを示唆しています。特に、電気自動車の推進や燃料電池車の産業育成、水素の利用拡大といった具体的な取り組みが求められています。これは、ガソリン車の販売を2035年までに終える目標や、水素ステーションの設置を現在の6倍に増やす計画と連動しています。
ファイナンスの観点からも、ウッドマッケンジーは2030年までに日本の低炭素水素需要が1.7百万トンに達し、2050年にはこれが16.5百万トンにまで膨れ上がると予測しています。これは、電力、製鉄、発電の各分野においての水素利用拡大の努力が背景にあります。しかし、この需要を国内でまかなうことはできず、最大80%を輸入に頼る見込みです。
特に注目すべきは、地理的に近く、コスト競争力のある澳州が日本の低炭素水素市場において大きなシェアを占めると予測されています。水素の海上輸送貿易が活性化する中で、アンモニアがグリーン水素キャリアとしての役割を果たす可能性が高いとも考えられています。
また日本の電力市場においては、再生可能エネルギーの需要が急増しています。ウッドマッケンジーによれば、2030年までに電力需要の30%が再生可能エネルギーによって賄われる見込みです。これにより、日本は再生可能エネルギーの目標達成に向け、着実な進展を遂げるとしています。
しかし、石炭やガスなどの伝統的なエネルギー源の削減には依然として難しい課題が残されています。石炭火力発電の割合を2019年の30%から26%に落とすことは容易ではなく、原子力の拡大に対する国民感情なども影響を与えています。現在、日本の電力供給においては2020年から2030年までに70百万トンのCO2削減が見込まれていますが、政府の46%削減目標に到達するにはさらなる努力が必要です。
ウッドマッケンジーは、再生可能エネルギーという新たな技術が低コストで利用可能であることも指摘し、その導入拡大に貢献するためには戦略的な政策が不可欠であるとしています。具体的には、再生可能エネルギーに対する投資は2030年までに1470億米ドルに達する見込みです。
目指すべき解決策は多岐にわたりますが、2050年のネットゼロ達成こそが最終的な目標であり、取り組みは様々な面から進められる必要があります。特に、風力や太陽光といった新エネルギー源の確立、並びに既存の発電インフラの改革が重要です。ウッドマッケンジーの分析は、これからのエネルギー戦略を再考するきっかけとなるでしょう。
今後、日本が2030年の温室効果ガス削減目標を達成できるかどうか、その道筋は依然として不透明ですが、この課題に正面から取り組む姿勢が求められています。
ウッドマッケンジーは、アジア太平洋地域の電力と再生可能エネルギーに関する会議を6月に開催予定であり、さらなる情報は公式サイトで提供されています。
会社情報
- 会社名
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Wood Mackenzie
- 住所
- Exchange Place 2, 5 Semple Street, Edinburgh EH3 8BL UK
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