ギリアド・サイエンシズ、HIV流行終結へ寄附プログラムを開始し意識向上を図る
ギリアド・サイエンシズの新たな取り組み
ギリアド・サイエンシズ株式会社は、2025年4月1日より、HIVの流行終結に向けた活動を支援する寄附プログラムを開始することを発表しました。このプログラムは、非営利団体を対象にしており、HIV関連の検査、治療、予防、そして偏見の解消に取り組む活動に対して寄付を行います。募集期間は2025年6月13日までとなっており、広く参加を呼びかけています。
1. HIV流行の現状
国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、今後2025年までに求められる「95-95-95」を達成することが目標とされています。これは、95%の診断率、95%の治療率、95%のウイルス抑制達成率を指し、2030年には新規感染者ゼロを目指しています。しかし、日本においては、2023年における新規HIV感染者数が669件で、エイズ患者数も291件と、共に増加傾向にあります。
この状況は日本国内でのHIV感染流行を終結させるための課題が多いことを示しています。これに応える形で、ギリアドは以下の4つの重要な活動領域に焦点を当てたプログラムを発表しました。
2. 活動の焦点
(1) HIV検査機会の拡充
早期発見を促進するためには、HIV検査の機会を増やすことが必要です。現在、HIV新規報告数の約3割は、エイズ発症があって初めて感染に気づくケースです。これを防ぐためには、アクセスの良い検査を提供することが求められています。
(2) 医療提供体制の整備
医療の進歩に伴い、HIV陽性者の平均余命は一般の人と大差なくなりましたが、HIVに対する偏見から医療を受けられない状況が残っています。これを解消するため、安心して医療が受けられる環境を整えていく必要があります。
(3) HIV感染予防策の普及
2024年には、日本初となるHIVの曝露前予防(PrEP)が薬事承認を受けます。これを通じて、正しい知識を持った上でHIV感染を防ぐ取り組みを広めていくことが重要な施策となります。
(4) 偏見の解消と正しい理解の普及
ギリアドの調査によると、HIVに対する社会的偏見が依然として存在しています。約8割の人々が「HIVは誰にでも感染の可能性があるウイルス」と認識しつつも、同じ割合で差別や偏見が存在することに対する意識が高まりつつあります。正しい情報を普及することで、この偏見を乗り越えていく流れを作ることが求められます。
3. プログラムの詳細と応募方法
この寄附プログラムの応募期間は2025年4月1日から6月13日までで、応募は公式ウェブサイトを通じて受け付けています。また、応募に関するサポートが必要な団体に対しては、ギリアド寄附プログラム支援事務局がサポートを提供しています。参与団体は、提出された活動案が厳正な審査を経て採択される流れとなります。
ギリアド社の代表取締役社長、ケネット・ブライスティングは、「日本におけるHIVの新たな感染者の増加は深刻な事態です。本プログラムを通じて、HIVに対する意識向上と、流行終結に向けた革新的な活動の支援を行っていきたい」と語っています。
このプログラムが、HIVに対する認識を変え、感染予防や治療に貢献する動きへとつながることを期待しています。