伝統の味を継承
2020-10-13 12:00:02

京都の伝統を守る次世代型事業継承の取り組みとは

京都の伝統を守る次世代型事業継承の取り組み



近年、後継者不足や経営環境の厳しさから、長年愛されてきた企業が閉業する事例が増加しています。特に伝統的な食文化を持つ京都でも、その影響は顕著です。このような社会の中で、京都の歴史ある味を守り続けるための新たな試みが始まりました。

背景と問題提起



帝国データバンクが発表した2019年のデータによると、全国での休廃業・解散件数は約2万3,600件にのぼり、前年比で2.6%の増加を見せています。この数字には、長年地域に根ざした企業が抱える課題が色濃く反映されており、継続的な経営が難しい状況に直面しています。

その中で、井上佃煮店が廃業の危機に瀕していることが発覚しました。井上佃煮店は、136年の歴史を誇る老舗惣菜店であり、特に「万願寺とうがらし昆布」などの伝統的な味が多くのお客様に愛されていました。このままでは、長年親しまれた味が失われる危険性があったのです。

フレンドフーズの取り組み



フレンドフーズは、井上佃煮店と取引関係にあることから、この危機を見過ごすことができませんでした。同社の社長、藤田氏は「ただ悲しんでいるだけでは何も解決しない」とし、井上佃煮店の再生を目指しました。

藤田氏は井上佃煮店の元社長を説得し、企業としての再生を目指す合意に至りました。これにより、井上佃煮店は法人として存続し、そのノウハウをフレンドフーズに引き継ぐ形で新たなスタートを切ることになりました。

2020年9月中旬から試験的に販売を開始し、10月30日には正式に販売をスタート。店頭では、惣菜の販売が夕方の時間帯にシフトされ、より多くのお客様に利用されることが期待されています。これにより、居住者はもちろん観光客にも喜ばれる商品を提供できるようになりました。

復活祭の開催



さらには、2020年10月30日と31日には「井上佃煮店復活祭フェア」が開催されました。このイベントでは、店内に特設コーナーを設けて新しい試みを周知し、元社長が直接店頭に立って旧知のファンとの交流を深める機会となりました。

井上佃煮店とは



井上佃煮店は、錦市場で営業していた伝統の惣菜店で、「人に寄り添う」ことを重視し、顧客からのリクエストに応じて採算度外視で製作を行う姿勢でも知られています。代表的な商品には、万願寺とうがらし昆布のほか、いかみょうが酢やちりめん山椒があり、どれも個性的な味わいを誇ります。

このように、フレンドフーズと井上佃煮店が手を取り合うことで、地域の伝統を今後も守り続け、愛される味を次世代に引き継ぐことが期待されています。

フレンドフーズの企業概要



フレンドフーズは株式会社として1977年に創業以来、京都府左京区を拠点にスーパーマーケットの運営を行ってきました。「美味しく、身体に悪くない“ほんまもん”だけを届ける」という理念のもと、地域の食文化の保存に貢献しています。

会社情報

会社名
フレンドフーズ有限会社
住所
京都府京都市左京区下鴨北園町10-6
電話番号
075-722-0451

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