名古屋大学、医学研究者育成プログラム始動
令和7年度、名古屋大学をはじめとする国立大学法人東海国立大学機構、岡山大学、順天堂大学が共に提案した「豊かな人生を育む多世代共生・健康社会を目指す医学研究者育成プログラム」が、文部科学省および日本医療研究開発機構(AMED)の「医学系研究支援プログラム」に採択されました。このプログラムは、今後の日本の医学研究を支える重要な基盤となることが期待されています。
1. プログラムの目的と実施期間
本プログラムの実施期間は、令和7年10月1日から令和10年3月31日まで予定されています。目指すのは、少子化と超高齢化といった日本が直面する深刻な課題に対して、すべての人が健康に活動できる社会基盤の構築です。3大学の強みを生かしつつ、若手研究者が挑戦的な研究に専念できる環境づくりを行い、日本の医学研究の未来を切り拓くことを目指します。
2. 独自の研究体制の構築
本プログラムのポイントの一つは、AMED革新的医療技術創出拠点に認定された3大学が共同研究体制を構築し、国立大学と私立大学が連携することです。これにより、精神・神経疾患やがんなどの特定の重要分野で、大学や専門分野の垣根を越えた「研究者クラスター」が生まれます。これにより、従来の発想にとらわれない柔軟なチームが形成され、独創的な研究が生まれる土壌が育まれます。
3. 研究環境の改善
若手研究者が創造的な活動に集中するための環境改革も進められます。名古屋大学では学生を研究補助員として雇用する「Student Assistant制度」を拡充し、岡山大学には臨床研究文書作成を代行する「リサーチクラーク制度」があります。これにより、研究者は臨床や事務作業から解放され、研究に専念できるようになります。
4. AIと医療ビッグデータの活用
プログラムでは、AIと医療ビッグデータの活用も欠かせません。3大学が持つ膨大な医療データを安全に共有・解析し、地域を越えたリアルワールドデータ解析が可能になります。また、データサイエンス・AI解析の専門家が研究者と共に研究に取り組み、データ駆動型の新たなアプローチを育むことを目指しています。
5. 新しい挑戦を支える制度の導入
さらに、各大学での専門人材の配置や、研究者が業務から離れ、研究や論文執筆に集中できる「ミニサバティカル制度」の導入により、研究者の創造性も引き出されます。
まとめ
この「豊かな人生を育む多世代共生・健康社会を目指す医学研究者育成プログラム」は、医療研究の未来を形作るための重要なステップです。参加する3大学は、各々の強みを生かしながら、このプログラムを通じて日本の医学研究を新たな高みへと引き上げていくことでしょう。