慶應義塾大学が発見した難治性卵巣癌への新治療法とは

難治性卵巣癌に新たな光明

慶應義塾大学医学部の研究チームが、難治性卵巣癌に対する新しい治療戦略を発見し、多くの注目を集めています。この研究は、産婦人科学教室の増田健太専任講師をはじめ、阪埜浩司客員准教授、山上亘教授、さらに藤田医科大学の永野修教授らが参加する共同研究の成果です。

研究の背景

難治性卵巣癌は、特にBRCA1/2変異を持たない患者において治療抵抗性が高く、標準治療が効果を示さないことがしばしばあります。このような患者にとって、新たな治療法の発見は急務であり、研究チームはmTOR経路に着目しました。

発見の内容

研究者たちは、BRCA1/2変異を有しない難治性卵巣癌では、mTOR経路が活性化されていることが治療抵抗性に関与していることを確認しました。これに基づき、mTOR阻害薬を標準治療に組み合わせて使用することで、従来の化学療法の効果を増強できる可能性が示唆されました。この研究結果は、2025年2月17日付で『Cancer Letters』という学術誌にオンラインで発表されました。

新たなバイオマーカー

さらに、研究ではp62タンパク質が新たなバイオマーカーとして有望であることも発見されています。このタンパク質の発現量が、卵巣癌治療における効果を予測する指標となる可能性があるとされており、治療の個別化に貢献することが期待されています。

将来への期待

この成果は、難治性卵巣癌に苦しむ患者にとって、新たな希望となることでしょう。今後の臨床試験や実用化に向けた研究が進むことで、具体的な治療法として確立されることが期待されます。

また、今回の研究成果は、ジャンルを超えた連携の重要性を示唆しています。異なる専門分野の研究者が集まり、相互に知見を共有することで、新たな治療法が生まれる可能性が高まります。