急増するDLLファイルを悪用したマルウェア攻撃に対する警告
サイバーセキュリティの先駆者であるチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは、最近増加しているDLL(ダイナミックリンクライブラリ)ファイルを悪用したサイバー攻撃の脅威に警鐘を鳴らしています。特に、悪意あるDLLを用いた攻撃手法が広まっており、システムへの影響が懸念されています。これに対応するため、チェック・ポイントは自社のAIソリューション「DeepDLL」を活用した新たな防御アプローチを発表しました。
DLLファイルによる攻撃の概要
DLLは、Windowsオペレーティングシステムにおいて複数のプログラムが同時に利用することができるファイルです。この特性により、DLLファイルはサイバー犯罪者にとって格好の標的となりがちです。攻撃者は、無害に見えるDLLを使い、システムに紛れ込むことでマルウェアを拡散します。最近では、DLLハイジャッキングやサイドローディング、さらにはDLLインジェクションといった手法を駆使した攻撃が増加していることが報告されています。
1.
DLLハイジャッキング: 攻撃者が悪意あるDLLに正規のDLLと同じ名前を持たせ、優先的に読み込まれるようにシステムに配置する手法です。これにより、システムは悪意あるDLLを正規のものとして扱います。
2.
DLLサイドローディング: この手法では、正規のアプリケーションのパスに悪意あるDLLを置くことで開かせ、セキュリティを回避します。
3.
DLLインジェクション: 実行中のプロセスに悪意あるコードをDLLを通じて直接挿入する方法で、攻撃者は異なるアプリケーションのコンテキストでコードを実行することが可能になります。
新たな防御手法「DeepDLL」
チェック・ポイントが開発した「DeepDLL」は、DLLファイルを対象にした新たなAIエンジンです。このエンジンは、何百万もの悪意あるサンプルを基に訓練されており、DLL特有の悪意あるパターンを検出します。DeepDLLは、DLLファイルのコンテンツとコンテキストに基づいて判断を行い、脅威を事前に特定します。
DeepDLLは、以下の特徴を持っています。
- - セキュリティ脅威となるDLLを迅速に検出しブロック
- - 99.7%という高精度で悪意あるDLLを特定
- - DLLがどのようにシステムに到達したか(メールやZIPファイルなど)を学び、攻撃の連鎖を回避する
具体例:Raspberryのペイロードを含むDLLの検出
例えば、オランダの顧客のシステムにおいて、DeepDLLはあるDLLファイルを検出しました。このDLLは、MSIインストーラーに忍び込んでおり、実行時に自動的にブロックされました。MSIファイルの中には、正式なDLLとして振る舞いながらも、実際には悪意のあるコードを持たない非常に疑わしいものでした。このケースは、DeepDLLが如何に効果的に悪意あるDLLを識別し、システムへの侵入を防いでいるかを示す一例です。
企業のセキュリティ対策の重要性
このように、チェック・ポイントのAI技術によって悪意あるDLLから保護されることが可能となります。特に、企業レベルでは、サイバーセキュリティ対策としてこうした先進技術の導入が求められています。顧客が使用する「Check Point Quantum」や「Check Point Harmony」の製品を通じて、最新の脅威からの保護が提供されます。
結論
チェック・ポイントが提唱する「DeepDLL」は、増加するDLLファイルを悪用したマルウェアの脅威に立ち向かうための重要なステップです。企業には、AIを駆使したセキュリティ対策を取り入れることが求められています。サイバー攻撃から身を守るために、これまでの防御手段を見直し、新たな対策を講じる必要があるでしょう。チェック・ポイントのサービスについては、デモやセキュリティチェックアップを通じて確認できます。