スマホ水質検査実現へ
2023-04-03 14:55:49
スマホで簡単水質検査!革新的技術で実現へ。メタウォーター社と共同研究の成果発表
スマホで2時間!革命的迅速水質検査技術が誕生
近年、上水道や下水道などの水質検査において、細菌検査に数日かかる培養法が主流でした。この手法は確立された方法ですが、迅速な結果を得ることができないという課題がありました。一方、PCR法は迅速な検査が可能ですが、高価な装置や専門知識が必要なため、普及が進んでいませんでした。
この問題を解決するため、研究グループはCranebio社の独自技術であるDNA Origami技術を用いた人工酵素Dozymeに着目。2021年から開発を進め、この度、メタウォーター社との共同研究で画期的な成果を発表しました。
従来法の限界と新技術Dozyme
従来の培養法は、細菌を培養する必要があるため、結果が出るまでに数日かかります。そのため、迅速な対応が必要な状況では大きな課題となっていました。PCR法は遺伝子を増幅することで迅速な検査が可能ですが、高額な装置と専門知識が必要なため、導入障壁が高いのが現状です。
Dozymeは、DNA Origami技術を用いて作られた人工酵素です。この酵素は、大腸菌などの特定の遺伝子の存在下で発光するという特性を持っています。この特性を利用することで、特別な装置を使わずに、大腸菌などの存在を簡単に検出できるようになります。
スマートフォンで水質検査が可能に
研究グループは、Dozymeを用いて大腸菌プラスミドを検出する実験を行いました。その結果、Dozymeの発光をプレートリーダーで確認することに成功。さらに、スマートフォンでもDozymeの発光を捉えることに成功しました。このことは、高価な装置を必要とせず、誰でも簡単に水質検査が行えることを意味します。
実験では、前処理から結果判明まで約2時間というスピードで検査が完了しました。これは従来の培養法に比べて大幅な時間短縮となります。
今後の展開と期待
この研究成果は、迅速な水質検査の実現に大きく貢献するものです。今後は、実際の河川水や上下水道水での測定を行い、従来法との相関性を確認し、新しい水質マネジメント法の開発を進めていく予定です。
Dozymeを用いた水質検査技術は、迅速性と簡便性を両立した画期的な技術です。この技術が普及することにより、より安全で安心な水の供給に貢献し、社会全体の課題解決に繋がることが期待されます。
Dozymeと両社の技術力
Dozymeは、Cranebio社のDNAナノテクノロジーの粋を集めた技術です。DNA Origamiという技術を用いて、酵素活性を自在に制御することで、高感度な検出を可能にしています。Cranebio社は、「ヘルスケアをもっと簡単に、もっと身近に」というスローガンのもと、簡便で使いやすい検査技術の開発に力を入れています。
一方、メタウォーター社は、水処理分野におけるリーディングカンパニーです。長年の経験とノウハウを活かし、本研究で得られた成果を社会実装へと導く重要な役割を担っています。両社の技術とノウハウの融合が、この画期的な技術を生み出したと言えるでしょう。
まとめ
本研究は、スマートフォンとDozymeを用いた迅速水質検査技術の実現可能性を示しました。この技術は、水質管理の効率化に大きく貢献し、より安全な社会の実現に繋がるものと期待されています。今後、さらなる研究開発と社会実装が進むことで、私たちの生活に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。
会社情報
- 会社名
-
Cranebio株式会社
- 住所
- 東京都千代田区外神田2-13-4千代田ビル
- 電話番号
-
03-4500-1595