総務部門の評価制度に対する実態調査結果と今後の課題
株式会社月刊総務が実施した全国の総務担当者を対象にした評価制度調査の結果、驚くべき実態が明らかになりました。
7割以上の回答者が、現在の評価制度が総務部門の業務を適切に反映できていないと感じていることが報告されています。特に、評価に対する納得感や目標管理の難しさが大きな課題として浮き彫りになっています。
調査の背景
日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務は、2024年9月に「総務の評価についての調査」を実施し、138名からの回答を集めました。この調査では、自社の評価制度がどのように機能しているか、またその課題とは何かについて探求しました。
評価制度に対する不満
調査結果によれば、自社の評価制度が総務の仕事を適正に評価できていると感じているのは約
30%に留まることが判明しました。さらに、「自分の仕事が適正に評価されている」と感じている総務担当者はおよそ
40%に過ぎないことが示されています。これは、評価を行う立場の人々に比べて、評価を受ける立場の人が制度への納得感が低いことを浮き彫りにしています。
目標管理の難しさ
また、調査に参加した
85%以上の総務担当者が、目標管理が難しいと感じており、その理由として「定量的な指標設定がしにくい」という点が最も多く挙げられました。業務内容が多様であることも課題として指摘されており、目標の達成基準を設ける際の難しさが顕在化しています。
特に、社内問い合わせ対応や文書管理、健康管理といった業務の定量化が難しいと感じている人が多数を占めています。
自己評価の傾向
興味深いのは、役職が低い人ほど自己評価が低い傾向があったことです。特に、役職のない担当者の約60%は、自身の業務が適切に評価されていないと感じていました。これは、自己評価と他者評価のギャップを示しており、個々の成長意欲やエンゲージメントを高めるために重要な指標となります。
目標設定の工夫とエンゲージメント
組織目標を個人目標に落とし込む際の工夫として、「目標を具体的なタスクに分解する」という方法が最も多く選ばれました。また、エンゲージメント向上のために重視されている点としては、「定期的な面談」が63%で最も多く、評価制度へのフィードバックを行うことが強調されました。
キャリアパスの明確化
さらに、調査結果から、キャリアパスや目標が明確になっている総務は
48%に過ぎないことも示されています。しかも、役職が低い人の方がキャリアパスが不明瞭である傾向が見られました。明文化された業務があると回答した人は
8%未満で、多くは業務内容が不十分に明文化されている実態にあることが示されています。
結論
調査から得られた結果は、総務部門が抱える評価制度の課題と、目標設定、キャリア形成の重要性を浮き彫りにしました。総務職の重要性を企業全体が正しく理解し、評価制度を改善することで、組織の生産性とエンゲージメントを高めることができると考えられます。評価制度の見直しが総務部門だけでなく、企業全体の活性化に寄与することが期待されます。
今後、株式会社月刊総務は、総務部門の価値向上を目指す取り組みを継続的に推進し、より良い評価制度の構築に寄与していくことが求められるでしょう。
調査概要
- - 調査名稱: 総務の評価についての調査
- - 調査機関: 自社調査
- - 調査方法: Webアンケート
- - 実施期間: 2024年9月10日~2024年9月17日
- - 有効回答数: 138件
株式会社月刊総務について
株式会社月刊総務は、1963年創刊の日本で唯一の総務専門誌を発行しています。企業のバックオフィスを支える重要な役割を果たす総務部門の専門知識を広く普及し、ビジネスパーソンのために価値ある情報を提供しています。