洋上風力発電の精度検証
2024-07-09 14:45:13

国内初、洋上風力発電用風況観測機器の精度検証試験サイトが本格稼働開始!産学官連携で実現した革新的な取り組み

国内初の洋上風力発電用風況観測機器の精度検証試験サイトが本格稼働開始!産学官連携で実現した革新的な取り組み



2021年10月、政府が発表した「第6次エネルギー基本計画」では、洋上風力発電が再生可能エネルギーの主力電源として位置付けられ、その導入拡大が期待されています。しかし、洋上風力発電所の事業計画策定には、事業性評価のための高精度な風況データ取得が不可欠であり、従来の風況観測マスト設置には、地元調整や許認可手続きなど多くの課題がありました。

そこで注目されるのが、ドップラーライダーなどのリモートセンシング技術です。この技術は、従来の方法に比べて設置が容易で、広範囲の風況観測が可能というメリットがあります。しかし、リモートセンシング技術による観測精度を担保するためには、観測機器の事前検証試験が必須となります。国内では、このような試験サイトが不足しており、その検討と整備が課題となっていました。

この課題解決に向けて、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、「洋上風況観測にかかる試験サイトのモデル検討・構築」事業を推進。神戸大学、レラテック、日本気象協会など産学官が連携し、青森県六ヶ所村むつ小川原港内に国内初の風況観測機器の精度検証が可能な「むつ小川原洋上風況観測試験サイト」を整備しました。

試験サイトの整備と運営体制



本試験サイトは、2023年度に整備が完了し、2024年3月には、レラテック、日本気象協会、北日本海事興業、株式会社神戸大学イノベーションの4社で構成される「一般社団法人むつ小川原海洋気象観測センター」が設立され、本格的な運営が開始されました。

試験サイトでは、洋上風況観測マストなどの観測データを提供し、風力発電事業者、研究開発プロジェクト関係者、港湾関係者など、幅広い関係者に利用されます。風況観測の精度向上を図ることで、洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進と地域社会の発展に貢献していくことが期待されています。

試験サイトが提供する機能



本試験サイトは、以下の3つの機能を提供します。

1. 風況観測機器などの精度検証
- 風力発電の風況調査に用いられるドップラーライダーなどの機器の精度検証を行います。
- 精度検証レポートをむつ小川原海洋気象観測センターから発行します。

2. 研究開発・教育利用
- 洋上研究プラットフォームとして利用できます。
- 観測データを活用し、神戸大学との共同研究や学生への教育機会を提供します。
- 研究開発テーマ例:風況調査用観測機器、数値モデル、気象・海象用観測機器、数値モデル、環境、生態系、寒冷地・重塩害環境下での実験など

3. 地域貢献
- 試験サイトで観測された気象・海象データを提供し、海域利用のための情報提供を行います。
- 青森県をはじめとした国内の学術機関との共同研究を実施し、教育施設としても活用されます。

今後の展望



むつ小川原海洋気象観測センターと神戸大学は、産学連携体制のもと、学術的な発展に貢献するとともに、洋上風力発電の導入促進、その他の再生可能エネルギーの導入促進、気象・海象観測技術の発展への寄与、そして地域社会への貢献を目指しています。

試験サイトの誕生が、日本の再生可能エネルギー導入を加速させる



本試験サイトは、国内初の洋上風力発電用風況観測機器の精度検証試験サイトとして、日本の再生可能エネルギー導入を加速させる重要な役割を担います。風況観測技術の向上は、洋上風力発電の事業化を促進し、より安定的なエネルギー供給体制の構築に貢献します。また、地域社会への貢献を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。


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