生成AIを活用したラップバトル形式のディベートシステム
株式会社朝日新聞社が、Dentsu Lab TokyoやThink & Craft、兵庫県立大学と協力して開発した「Debate Generation System in Japanese Rap Battle Format」が、国際学会「SIGGRAPH ASIA 2024 TOKYO」で最高賞の「BEST OF SHOW AWARD」を受賞しました。この革新的なシステムは、プラットフォームにテーマを入力すると、生成AIが異なる視点からのリリックを生成し、音楽に合わせて多彩な議論を展開します。
開発の背景
本プロジェクトは、議論をエンターテイメントとして昇華させることを目的にしています。朝日新聞社は、特に日本語のラップ特有の韻を取り入れたリリック自動生成を推進しました。この技術を通じて、視聴者は異なる意見を音楽とともに楽しみながら、より深く考えることができるようになります。開発者の一人である兵庫県立大学の三林亮太氏は、リリック生成において日本語特有のリズムを活用することで、このシステムをより魅力的なものにするとしています。
SIGGRAPH ASIAでの発表
本システムは、2024年12月3日から6日にかけて東京国際フォーラムで開催されたSIGGRAPH ASIAで発表されました。特に6日の「Real-time Live!」セッションにおいて、その独自性と革新性が高く評価されました。SIGGRAPHは、コンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する世界最大級の国際学会であり、そのアジア版としても広く認知されています。今後、このシステムが多様な議論の場で活躍することが期待されています。
メディア研究開発センターの役割
朝日新聞社のメディア研究開発センターは、2021年4月に設立され、人工知能や先端メディア技術の研究を進めています。このセンターでは、社内外の問題解決を目指し、自然言語処理や画像処理など最新技術の開発を行っています。また、新聞社ならではの豊富な素材(テキスト、画像、音声)を活用することで、技術の進展を加速させています。
今後の展望
朝日新聞社は、生成AIを駆使した新たなコンテンツの提供に向け、さらなる研究と開発を続けていく方針です。特に、ディベートシステムの進化を通じて、情報伝達のあり方や議論のスタイルに新しい風を吹き込むことを目指しています。今回の受賞は、その第一歩とも言え、今後の取り組みにも大きな期待が寄せられています。