気象情報を活用した衛星データ取得の新時代
株式会社スペースシフト、株式会社ハレックス、そして株式会社Tellusの3社は、2025年1月より気象情報を元にした衛星データ取得の実証実験に成功しました。このプロジェクトは、気象状況による衛星の自動タスキングシステムとして世界初の試みとなります。
プロジェクトの背景
本実験は、スペースシフトのビジネス共創プログラム「SateLab」の一環として推進されました。特に、ハレックス社が提供する専門的な気象情報と知見が重要な役割を果たし、スペースシフトがシステムの開発を担いました。この革新的な仕組みでは、生成AIを用いて気象情報に基づくAOI(関心領域)を自動的に決定し、観測の効率化を実現しています。
実証実験の成果
2025年1月から2月にかけて行われた実証実験では、ハレックスが提供した積雪に関する気象警報情報を基に、生成AIがAOIを自動で決定。Tellusのオンデマンドタスキングシステムを通じて、衛星へのタスキングを成功させました。この取り組みにより、気象情報をトリガーとして衛星が観測を行うプロセスが効率化され、半自動での実施に至る成果を得ました。
2025年1月20日には、富士山地域においてパスコ社の衛星ASNAROによる撮影が成功し、その後もAxelspace社のGRUSとさらに2種類の光学衛星を使用して、日本各地の観測が行われました。特に、大規模災害時における迅速な衛星観測は重要であり、この実証実験がその実現可能性を示しています。
システムの技術的背景
この実証実験で使用されたシステムは、経済産業省の研究プロジェクトの一環で、Tellusが開発したオンデマンドタスキングシステム及びAmazon Web Services(AWS)の生成AIサービス「Amazon Bedrock」を使用しています。これにより、より効率的で信頼性の高いデータ取得が可能になります。
未来への展望
実証実験の成功を受け、今後は実用化に向けたさらなる取り組みが検討されています。気象予測と連携した衛星観測の地域を拡大し、さらなるAI解析技術の高度化を進め、気象情報以外のトリガー情報による実証も進めていく計画です。これにより、防災や減災分野での実用的なソリューションを提供することが目指されています。
代表者のコメント
スペースシフトのCEO、金本成生氏は「この実証実験の成果は、パートナー企業との協業によって実現できたもので、生成AIを利用した自動的AOI生成が災害時の自動タスキングを現実のものにしたと確信しています」と感想を述べています。
ハレックス株式会社社長の藤岡浩之氏は、「気象データと衛星データの新しい価値創出が実現したことを嬉しく思います。今後も共同開発を進めていく所存です」と話しています。
また、Tellusの代表、山﨑秀人氏も「このシステムが新しい衛星データ利用の可能性を広げることを示すことができ、社会実装を進めていくことで、安心・安全な社会の実現に貢献する考えです」と語っています。
会社概要
- - 株式会社スペースシフト(設立:2009年、所在地:東京)
- - 株式会社ハレックス(設立:1993年、所在地:東京)
- - 株式会社Tellus(設立:2021年、所在地:東京)
これからの展開に期待が寄せられるこのプロジェクト、今後の発展について注目したいところです。