警視庁と移動スーパーが連携した防犯対策
近年、特殊詐欺被害の深刻化が社会問題となり、多くの高齢者がその被害に遭っています。特に東京都では高齢者の約78%が詐欺の対象となっており、その対策が急務です。警視庁と移動スーパー「とくし丸」が連携し、高齢者向けに防犯対策を強化する取り組みを始めました。
特殊詐欺の現状
令和5年の全国の特殊詐欺の認知件数は19,038件、被害額は452.6億円。中でも高齢者に対する被害は著しく、東京都内では2,918件の特殊詐欺が報告されています。65歳以上の高齢女性が特に多く、被害件数は10,661件にも達しています。これに加え、強盗事件も増加しており、高齢者の安全を守るための防犯対策が求められています。
移動スーパーとくし丸の役割
移動スーパーとくし丸は、食品や生活雑貨を販売するだけでなく、地域の高齢者を見守るという重要な役割も担っています。週2回お客さまの元を訪れることで、販売員は日常の中でちょっとした異変に気付くことができ、その迅速な対応により特殊詐欺被害などの未然防止に繋がっています。これまでの取り組みにより、自治体や警察からの表彰も受けるなど、高い社会的評価を得ています。
啓発活動の詳細
2024年11月1日から7日まで、移動スーパーとくし丸は特殊詐欺防止のための啓発活動を行います。主に東京都足立区や新宿区、多摩エリアなどを訪れ、70〜90代の高齢者を対象に以下の取り組みが行われます。
- - 販売車両に「ながら見守り活動実施中」のポスターを掲示し、犯罪被害の未然防止を呼びかけます。
- - 販売員が直接お客さまに特殊詐欺被害防止や防犯対策に関するチラシを配布し、注意喚起を行います。
- - 高齢者についてのヒアリング調査を実施し、収集した情報を警視庁に報告します。
この取組みは、警視庁ととくし丸の協力のもとで進められ、高齢者の日常生活における安全を強化することを目的としています。
移動スーパーの存在意義
「買い物難民」と呼ばれる高齢者にとって、移動スーパーは非常に重要なサービスです。約400品目、1,200点以上の商品を取りそろえ、販売員が直接会話をしながら商品を届けています。このような「おばあちゃんのコンシェルジュ」としての役割が、彼らの生活に実質的な助けと安心感を与えているのです。
まとめ
特殊詐欺や強盗事件が増加する中、高齢者の防犯対策は急務です。警視庁と移動スーパーとくし丸の新たな取り組みは、高齢者の安全を守るための大きな一歩です。地域社会全体で高齢者を見守る体制を強化し、安心・安全な生活を実現していくことが求められています。