新たな蛍光温度計技術で医療や産業界に革新をもたらす

新たな蛍光温度計技術で医療や産業界に革新をもたらす



追手門学院大学の理工学部電気電子工学科に所属する野中俊宏講師の研究チームが、新しい蛍光体を開発しました。この蛍光体は、深部の温度を正確に測定することが可能な「蛍光温度計」の実現に寄与することを目的としています。新技術は、医療や産業において温度管理の精度を飛躍的に向上させることが期待されています。

研究の背景



近年、医療現場での温度測定には赤外線体温計が普及していますが、これには限界があります。表面温度を測定する際、対象の材質や色に影響されるため、体内や機械内部などの奥深い温度を測定することは困難です。そこで、野中講師の研究グループは、赤外線を吸収し可視光を放つ「アップコンバージョン型蛍光体」に着目しました。この蛍光体は、生体内でも利用できるため、これからの温度計測技術の発展が期待されます。

実現した蛍光体とその特性



この新しい蛍光体は、Yb³⁺(イッテルビウム)とTb³⁺(テルビウム)の両方を融合させて生成され、LaF₃(フッ化ランタン)とLaOF(酸化フッ化ランタン)の複合材料をベースにしています。赤外線を当てると、この材料から青や緑の光が発せられることが確認され、これが実際に温度測定に応用できることが示されています。

実験結果



研究チームは固相反応法を用いて蛍光体を合成し、様々な条件下でその光学特性を分析しました。特に注目されたのは、約950 nmの波長での吸収ピークの存在です。また、PLスペクトルからは、特定の波長における発光強度が顕著であり、発光メカニズムが二光子過程であることが明らかになりました。

アプリケーションの可能性



新たな蛍光温度計技術は、特に医療と産業における幅広い応用が期待されています。医療分野では、体内での温度管理が精度をもって行えるようになり、患者の健康管理に寄与するでしょう。また、工業分野でも、精密機器の温度管理が進むことで、製品の信頼性が向上する見込みです。

今後の展開



今後、研究チームはさらに高感度な温度センサーの開発に向けた実験を進める予定です。具体的には、電子がエネルギーを効率的にやり取りできるような材料調整を行い、発光効率の向上を図ります。これが実現すれば、さらに信頼性の高い温度測定が可能となり、その結果、様々な分野での浸透が期待されます。

この研究成果は、学術誌『Sensors and Materials』にて2025年8月8日付けで発表され、当該号の表紙に掲載される予定です。今後も、医療や産業界における蛍光温度計技術の進展が楽しみです。

会社情報

会社名
学校法人追手門学院
住所
大阪府茨木市太田東芝町1-1登記上本店:大阪市中央区大手前1丁目3-20
電話番号
072-665-9166

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