アスベスト事前調査の重要性:発注者向け啓発動画で法令順守を促進
一般社団法人企業環境リスク解決機構(CERSI)は、アスベスト含有建材に関する法令遵守の促進に向け、工事発注者向けの啓発動画とコラムを公開しました。近年、アスベスト規制強化により、あらゆる規模の建築工事において、事前調査と適切な対応が義務化されています。しかし、現場では発注者側の理解不足やコスト負担への懸念から、法令遵守が滞っているケースも散見されます。
なぜアスベスト事前調査が必要なのか?
アスベストは、吸入すると健康被害を引き起こす危険な物質です。労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づき、解体工事やリフォーム工事の前には必ずアスベストの有無を調査し、適切な処理を行うことが法律で義務付けられています。
CERSIが公開した動画では、電動ドリルによる小さな穴あけ作業でもアスベスト含有建材の飛散が確認できる実験結果を示し、小規模工事であっても事前調査の必要性を訴えています。アスベストは非常に軽く、空気中に飛散しやすい性質を持つため、軽微な作業であっても、適切な対策を講じなければ健康被害や環境汚染のリスクを招く可能性があるのです。
発注者にとっての課題とCERSIの取り組み
アスベスト対応にはコストがかかります。そのため、多くの施工業者からは、「発注者への説明が難しい」「コスト負担を理解してもらえない」といった声が上がっています。CERSIはこうした課題を踏まえ、発注者向けにアスベスト法令対応の理解を促進するための動画とコラムを作成しました。
動画とコラムでは、アスベストの有害性、調査方法、コスト負担について分かりやすく解説しています。発注者自身がアスベスト問題の重要性を理解し、適切な対応を施工業者に求めることが、安全で安心な工事の実現に繋がります。
動画・コラムの内容
公開された動画とコラムでは、以下の内容について解説されています。
アスベストの有害性と危険性
アスベスト事前調査の必要性と手順
法令に基づいた適切な対応方法
アスベスト調査にかかる費用とコスト負担
* 発注者と施工業者間の円滑なコミュニケーション
これらの情報は、工事の発注者だけでなく、施工業者にとっても役立つ内容となっています。
CERSIと動画解説者について
CERSIは、企業の環境リスク管理支援を目的として設立された団体です。産業廃棄物管理やアスベスト関連の講習会などを開催し、企業の法令遵守と安全管理を支援しています。動画の解説者は、CERSI理事兼事務局長である子安伸幸氏。長年の経験と専門知識に基づき、分かりやすく解説しています。子安氏は、産業廃棄物管理を中心とする環境コンサルティング企業である株式会社ユニバースのチーフコンサルタントも務めており、年間3000人以上にプレゼンテーションを行っています。
まとめ
アスベスト問題は、社会全体の課題であり、発注者、施工業者、そして行政が連携して取り組む必要があります。CERSIが公開した動画とコラムは、その第一歩となる重要な情報源です。これらの資料を活用し、アスベスト問題への理解を深め、安全で安心な社会の実現に貢献しましょう。