南フランス・核融合実験炉イーターでの新技術開発
近年、エネルギー問題の解決策として注目されている核融合技術。この分野での最新の進展として、南フランスで建設中の核融合実験炉「イーター」(ITER)向けの「外側垂直ターゲット」のプロトタイプが完成したことが発表されました。三菱重工業株式会社と国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)が協力して進めたこのプロジェクトは、未来の持続可能なエネルギー供給に大きな影響を与える可能性を秘めています。
ITERプロジェクトの重要性
ITERは、地球上での核融合を実現するための国際共同プロジェクトで、日本を含む7つの国が参加しています。核融合は、太陽が持続的にエネルギーを供給する仕組みを模倣し、重水素や三重水素の軽い原子核が融合することでヘリウムを生成します。これに伴うエネルギーは、CO2を排出せず、地球環境に優しいため、持続可能なエネルギー源としての期待が高まっています。
プロトタイプ完成とその意義
2020年6月から取り組んでいた「外側垂直ターゲット」のプロトタイプの製作は、昨年行われた高熱負荷試験体の認証試験に合格し、無事に完成を遂げました。このターゲットは、核融合炉の炉心から生成されるプラズマを安定して受け止め、発生する不純物を効果的に排出する重要な役割を果たします。
ダイバータは核融合炉において非常に重要な機器であり、その熱負荷は最大で20MW/m²に達します。この数字は小惑星探査機が大気圏に突入する際に受ける熱負荷に匹敵し、スペースシャトルの約30倍にも及びます。そのため、ダイバータは高い耐熱性を有する特殊な材料、主にタングステンを使って製作されます。
高精度な製作技術
ダイバータの製作には、極めて高い精度が求められます。プラズマ対向面には0.5ミリ以下の精度が必要で、個々の形状加工には高度な技術が求められるのです。QSTは革新的な研究開発力を背景に、ITER計画の開始からダイバータの研究に注力しており、三菱重工との協力により、この困難なプロジェクトを成功させました。
今後の展望
今回のプロトタイプ完成を受け、三菱重工は2025年度までに6基の外側垂直ターゲットをITERに納入する計画を立てています。これにより日本は、国際的なフュージョンエネルギーの開発に一層貢献していくこととなります。日本の産業界が結集して取り組むこのプロジェクトが、核融合技術の実現に向けた重要な一歩となることが期待されます。
結論
核融合技术の groundbreakingな進展は、持続可能な未来に向けた希望を抱かせます。南フランスのITERプロジェクトでの進展は、世界中のエネルギー問題解決への道筋を示唆するものとして、今後ますます注目されることでしょう。